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曇天の雲間から太陽光が差し始め、タンポポたちは、飛ぶ準備をしてもよいものかと、うかがっているようだった。
そういえば僕は、綿毛の『中間』を見たことがないな。
先ほど軒先で見かけたときは、雨に濡れまいと綿毛を閉じ、濁った白色になっていて、ちょっと引っ張っても綿毛は抜けず――力尽くで抜いたらブチブチといういやな音が聞こえた。
それがどうだろう。
いまは、同じものとは信じられないほど、綿毛ひとつひとつが開いて、景色を透かす柔らかな球体になっている。
僕は地面に這いつくばり、綿毛をふうっと吹いてみた。
つい先刻の僕の蛮行により欠けていた球体は、フーッという吐息によって軽く爆ぜ、ふよふよと風に乗り、各々青空へ舞い散っていった。
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