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「なるほど、満潮のときはここまで浸かっちゃうんですね」
「ああ。となると、この仏さんはちと綺麗すぎるだろ?」
「じゃあ、潮が引いたあとにここに遺棄された可能性が高いってことですかね?」
「んー……いや」
歯切れの悪い返事をした枕辺さんは、ジジ臭い掛け声と共にしゃがむと、砂浜に指を突っ込んだり抜いたりすることを繰り返し始めた。
頭の中で、『ずーいずーいずっころばしごまみそすい』……という童謡が流れる。
このくたびれた名探偵にも、手遊びで笑い転げるような、無垢な少年時代があっただろうか?
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