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アイスコーヒーを注文し、席につく。
スマホを見るふりをしながら、隣でノートパソコンを触るターゲットの男に向けて、レンズを向ける。
背後に誰もいないのを確認して、無音カメラで何枚か撮った。
男は、画面から一切目を離さず、ほぼ氷だけになってしまっている飲み物を手に取った。
ズロロロロ……という、間抜けな音を立てているのは、『もうしばらくはここに居座り、仕事をします』という、店員へのメッセージのようにも思える。
僕は別に、浮気男の仕事への情熱度を測りにきたわけではない。
本来の責務を全うするため、僕はトイレに立つふりをして、男の背後に回った。
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