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 分度器の使い方が分からず、算数そのものを嫌いになりそうになっていた弥山少年に、担任はこう言ったのだった。
 ――分度器は、観覧車を半分に割った片割れだよ
 弥山少年は夢中で、身近なものの角度を測りまくった。
 この世界には、観覧車のかけらが散らばっている!
「おーい、見つかったか? 見つかるまで帰れねえぞ」
 現実に引き戻される。
 何が悲しくて、成人男性でふたりがかりで、分度器片手に夜の東京を走り回っているのだろう。

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