5/10

「…………いや、どう考えても罠でしょ。毒、入ってないわけなくないですか?」
「入ってない可能性もあるから飲んでみろ」
「嫌ですよ! 本当に入ってたらどうしてくれるんですかっ!?」
 冗談なのか本気なのか分からないことをさらりと言うのは、パワハラに入らないのか?
 僕は盛大に眉をひそめ、さりげなくカップを枕辺さんの方に寄せる。
 枕辺さんは、ぽりぽりと頭を掻きながら、横目でちらりと僕を見た。
「あのな、弥山。最期に言っておくけど、親孝行ってのはスタンプラリーみたいなもんだ。鉄道会社の指示通りに進んだらスタンプがもらえるが、そもそもそれが夏休みにおいてそんなに大事かってのはよく考え――」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?