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「…………いや、どう考えても罠でしょ。毒、入ってないわけなくないですか?」
「入ってない可能性もあるから飲んでみろ」
「嫌ですよ! 本当に入ってたらどうしてくれるんですかっ!?」
冗談なのか本気なのか分からないことをさらりと言うのは、パワハラに入らないのか?
僕は盛大に眉をひそめ、さりげなくカップを枕辺さんの方に寄せる。
枕辺さんは、ぽりぽりと頭を掻きながら、横目でちらりと僕を見た。
「あのな、弥山。最期に言っておくけど、親孝行ってのはスタンプラリーみたいなもんだ。鉄道会社の指示通りに進んだらスタンプがもらえるが、そもそもそれが夏休みにおいてそんなに大事かってのはよく考え――」
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