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「では、ハンドルを抱え込むような姿勢で倒れていた、ということですね」
「はい。衣服が……シャツもスラックスも血まみれだってすぐ気づいて、通報しました」
 なるほど、と言って僕がさらさらとメモを取っていると、斜め後方からのんきな声が聞こえた。
「やっぱコロシだなー」
「ちょっ……やめてください。ビールには枝豆みたいなトーンで言うの」
 世が世なら、不敬罪で逮捕されるぞ。
 事切れていたのは、何年も前に皇室を追放された元皇子だった。

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