佐々木 淳 / Jun Sasaki

内科医/医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長 首都圏にて在宅医療ネットワークを構築中。…

佐々木 淳 / Jun Sasaki

内科医/医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長 首都圏にて在宅医療ネットワークを構築中。70名の医師とともに15の診療拠点から常時5000人の在宅患者に24時間体制の在宅総合診療を提供している。

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帰りたい場所があり、待っている人がいる。

一世紀を生き抜いた一人の男性が病院からホームに帰ってきた。 消化管疾患で入院となったが、経過中に誤嚥性肺炎を合併。点滴・酸素・抗菌薬を投与するも、病状は改善しない。これ以上、治療してもよくならないなら、最期は奥さんの待つ住み慣れた場所で。家族と病院チームの決断で、搬送中の急変の可能性すら懸念される状況での退院となった。 入院中は全く食事や水分が摂れず、言葉も全く出なくなってしまっているという。もう、酸素も点滴も吸引もしない。そんな看取りを前提とした覚悟の帰宅だった。 退

    • 死を恐れぬ患者と、死を遠ざけようとする医師

      僕には大好きな患者さんがたくさんいる。 患者さんに「大好き」なんて感情を持っていいのか、と時々思うが、人間なので仕方がない。 もちろん大好きかそうでないかで診療の質を変えることはない。 7年前の今日は雪だった。 そして、ある大好きだった患者さんの葬儀の日だった。 95歳。川口市内の特定施設で6年間のお付き合いに入ったところだった。 「先生、いつもきれいね。ステキ!」と満面の笑顔でいつも褒めちぎってくれる。 (ご家族からは、初めてお会いしたときに「きれいな先生、といつも母が

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