若年ミオクロニーてんかん

10-24歳(範囲8-40歳)青年期、成人期に発症する最もよくあるIGE症候群。正常な青年、成人に生じるミオクニー発作および全身強直間代発作が特徴。睡眠不足、覚醒直後、疲労時に生じやすい。ミオクロニー発作重積状態がまれに生じる。
ミオクロニー発作は片側も両側もある。
下肢にも生じて転倒の原因になることもある。
光刺激以外に行為誘発もある。
全般強直間代発作は90%以上で生じる。しばしば群発ミオクロニー発作が先行して、頻度と強度を増しながら強直間代発作に至る。
意識減損に先行した頭位偏向は焦点てんかんの可能性を示唆するが、意識減損後の頭位変換はJMEで珍しくない。
欠神発作は1/3でみられる。短時間(3-8秒)、頻度もすくない。

光過敏性は90%。
生涯にわたる治療がしばしば必要。
全てんかんの9.3% 1-3人/10000人
5-15%はCAEから移行。熱性けいれんの既往は4-5%。
薬剤で62-92%は反応する。抑制困難な症例もある。
睡眠不足は発作誘因。
Naチャネル遮断薬はJMEのミオクニー発作、欠神発作を増悪させる。ラモトリギンも一部の患者で増悪させることがある。
薬剤中止後78%は再発。
薬剤抵抗性のリスク因子は欠神発作、精神医学的合併症、CAE既往、行為誘発発作、てんかんのより若い発症年齢

脳波
背景活動は正常。ただし全般強直間代発作後は全般性徐波がみられる。
発作間欠期
不規則な3.5-5Hzの全般性多棘徐波と全般性棘徐波が覚醒時、睡眠時いずれでもみられる。断眠で誘発される。睡眠時はしばしば断片化して焦点性、多焦点性にみえることもある。20%にみられて、前頭領域に多い。部位は変化する。断眠負荷すれば多くは全般性棘徐波が誘発される。
光突発反応は1/3くらい。光刺激でミオクロニー発作、眼瞼ミオクロニー、まれに全般強直間代発作が誘発。
過換気で全般性棘徐波、多棘徐波誘発されることある。まれに臨床的欠神発作も誘発される。
発作時
発作時記録は診断に必須ではない。
ミオクロニー発作は全般性多棘徐波放電を伴い、棘波は実際の攣縮と同期。ミオクローヌスに棘徐波を伴わない場合は、非てんかん性ミオクローヌスの可能性。
全般強直発作では脳波はアーチファクトで不明瞭になるが、強直相では律動性の早い全般性棘波がみられ、間代相の攣縮に同期して、棘波の群発とそれに続く徐波がみられる。先般性強直発作の後には不規則徐波を示す。

遺伝
家族歴は時に存在し、家族成員はIGE症候群を示すが、必ずしもJMEではない。

鑑別診断
・乳児ミオクロニーてんかん:ミオクロニー発作は3歳未満発症
・JAE:ミオクロニー発作は認めない。
・GTCA:全般強直間代発作以外の発作型を認めない。
・眼瞼ミオクロニーを伴うてんかん:眼瞼ミオクロニーが顕著な欠神発作があるときに考慮
・ミオクロニー欠神てんかん発作を伴うてんかん:ミオクロニー欠神発作はJMEでは認めない。
・進行性ミオクローヌスてんかん:認知機能低下、持続的多発的、薬剤抵抗性ミオクローヌス、脳波背景活動徐派化、低周波数光刺激(3Hz未満)で光突発反応を認めるときに考慮。
・読書誘発発作をともなうてんかん:読書中にミオクロニー発作
・遅発性Lennox-Gastaut症候群:強直発作や全般性突発速波活動を脳波で認める場合に考慮
・焦点てんかん:ミオクローヌス発作または全般強直発作のたびに一貫した焦点起始の特徴がある場合、発作が覚醒直後でなく睡眠中に起始する場合
・家族性成人型ミオクローヌスてんかん(FAME):皮質振戦を伴う成人ミオクローヌスてんかん。顕著な皮質性振戦は常に存在し、しばしば年齢とともに悪化する。ミオクロニー発作に加えてGTCSは患者の15-100%に。

本態性振戦は35%みられた(サウジアラビア)
頭痛は一般人口の3.4-7.3倍

治療
生活スタイル指導が不可欠。自然睡眠と朝のゆっくりした覚醒を阻害しない。飲酒は少量、機会飲酒に。
光刺激、早朝覚醒で発作誘発されやすい。
寝不足のときは運転しない。
多くのJME患者は真夜中になる前に帰宅するので、シンデレラ症候群ともよばれた。

フェニトインは中等度効果あるが、増悪も報告ある。
カルバマゼピンは68%増悪。
ラモトリギンは長期間たってから増悪報告あり、議論あり。

バルプロ酸85%効果あり 1000-2000mg 夕のみ投与の人もいる。
効果がない場合に副作用でるまで増やしても効果でない。
クロナゼパムも使用される。
ラモトリギンは妊娠可能女性に使用されるが、そこまで効果がないことと、長期で増悪の可能性もある。
レベチラセタムは効果もあり、最近よく使われる。妊娠可能女性ではよい。バルプロ酸にはかなわない。
トピラマートも効果あり。VPAで体重増加の人にはよい。注意、短期記憶、処理速度、言語流暢性の低下が副作用としてありえる。
ゾニサミドも有効性が報告されてる。対照試験はない。
ラコサミドはミオクローヌス発作を増悪させることがある。
ペランパネルは様々なタイプのミオクローヌス発作に有効性しめされてるので、難治性のJMEには選択肢になる。

まとめると
第一選択 バルプロ酸、レべチラセタム
第二選択 トピラマート、ゾニサミド

治療抵抗性も少ないが存在、真の治療抵抗性か確認が必要
 生活スタイル
 内服アドヒアランス
 最適でない処方
そもそもJMEかどうか。低IQ、非典型脳波、非典型発作(前兆、発作後もうろう)



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