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存在理由

昨夜のこと、夢を見ました。

今回、公安委員会から奥さん宛に運転免許証の更新葉書が届いたので、奥さんに返納してもらうために言葉を尽くしている夢でした。 

奥さんは趣味と言って良いほど車の運転が好きでした。
学生時代から移動手段の殆どは車を使用していました。
結婚後も、家族で遠出する時のは、いつも奥さんが手を上げて運転してくれました。

4年前に奥さんが病気で倒れてから分かっていたことですが、今回葉書が届き、返納の話を切り出すタイミングを考えていました。
いつ、どんな風に伝えたら、納得してくれるか。傷つけないで、伝えられるか。
葉書をソファ近くの机の上に置いて座る度に考えていました。

そして、昨夜。夢の中。
奥さんに運転免許証は返納しなくちゃと事務的に伝えている自分がいて、奥さんはそれを聞いて、涙を流して赤い車に乗り込んで、ひとりで行ってしまいました。

我に返って、危ないから戻って来てよ、お願いだから戻って来てよと叫びました。
同時に、頑として返納に応じてくれなかったことに、自分勝手な黒々とした気持ちが湧き上がってきました。こんなに考えているのに、どうして分かってくれないのと。。そして「僕は返納すべきと思う。そういう態度をとるなら勝手にしてよ。」と大声で怒鳴っていました。

そこで目が覚めました。
隣の布団で奥さんは泣いていました。私は何もできないよと。

自分の無責任な寝言で奥さんを傷付けたことに直ぐに気付きました。自分勝手な気持ちを聞かせてしまったことをひたすらに謝りました。

そしてそのまま運転免許証の返納について話しました。僕が手足になるからと。
奥さんは左半身麻痺の他、左視野欠損もあるため、元々返納するつもりだったと話してくれました。

これまでも何度も不自由な現実にぶち当たってきました。その度に、病気のせいにしたって何も変わらない。最後はそれを受け入れるしかない。それならばこちらから迎え入れて、違和感のないように粉々に噛み砕いて、消化してやるんだと。
だけど、まだいつも平気な顔でやり過ごせるまで度量が広くなくて。
悩んでしまうと眠れないし、どうしようもない現実を前にひとりで泣くし、何かのせいにしたくなる時も度々あるし。
だけど、心根では、家族や近くにいる人には笑顔でいてもらいたいと思っている。
僕は弱い人だけど、ほっとしてもらえるような存在でいたいと思っている。
大丈夫って言える存在になりたい。
それが存在理由って言えるようになりたいよ。

妻が倒れてから、感情を言葉にすることの大切さを実感している。拙くても不器用でも、妻への思いは送り続けたい。