柔道部物語①
「中学に入ったら野球部にはいろう!」順平少年はそう思っていた。
小学校の頃は地域のサッカークラブみたいなのが盛んでクラスのスポーツ好きはみんなそこに入っていました。
僕もキャプテン翼に憧れる少年だったのでぜひ入ってタイガーショットとかなだれ戦法とかやりたい!とか思ってたんですが思春期初期特有の熱血カッコワルイみたいな感覚と今更入って補欠とかでボール磨きとかさせられたら嫌だなぁとか思って親にいいだせずに毎晩毎夜、覚えたての指癖でまぎらわしてたのでした。ちょっと今日はオブラートに包んでみよう。
そんな順平少年ですがお受験で見事に博才を発揮し、中野上小学校という「違うんだ!野上とかいってるけど野上町じゃなく一応海南なんだ!市民なんだ!」みたいな小学校から、一躍近大付属和歌山というメトロポリス和歌山市の中学校に通う事になったのでした。
さて入学して2週間程たった頃でしたでしょうか?部活説明会みたいなイベントがありました。
これはまぁ各クラブの主に2年生が新入部員を獲得するため、自分の部の素晴らしさをアピールする場なのです。
各クラブがあの手この手でアピールしていきます。
人気のクラブはもう無難な感じでいくし、ウケ狙いですべってかわいそうな事になってるクラブもありました。
ひととおり紹介が終わった後、紙が配られ入部希望の部がある者は記入し提出します。
僕がその紙に書き込んだのは『柔道部』でした。
ちなみに柔道部は「受身やります!」バシーン→シーンみたいなかわいそうな感じでした。
ではなぜ僕が柔道部に惹かれたのかを説明します!
まずアピールしてる人数が二人でした!テニス部とかサッカー部とかずらーっと並んでるのに!二人!
確かに柔道は二人いればできるけど!
で、今日はたまたま休みなのかなーとか思ったんだけどマジで二人しかいないそうな。
これはつまり新入生の中でぱっとしたのいなかったら即レギュラーじゃない!と
さらに漫画脳な僕は「弱小中学に現れた超新生が部を引っ張って遂に全国制覇!」みたいなストーリーを考える訳ですよ。
それと後はみんなと違う事するのがかっこいいとかいう思春期特有の感覚かな?
そんな訳で柔道部に仮入部した順平少年。
同学年で入部したのは4人。
まずは同じクラスの佐藤君。4人の中では一番小柄で真面目な感じ。髪が薄い事を気にしていて、別に見た感じやばくないんだけど面白いから「お前中一でそれはやばいよー」とかいってからかっていた。
因果応報とはこの事ですな…
続いて政吉(まさよし)君。結構気があって君のおセンチなんcm?とか質問しあうくらい仲よかった。体格は小太り。余談にはなるが僕にイエローモンキーを教えてくれたのもこいつ。
最後に別のクラスの木村君。こいつはとにかくでかくてそして何考えてるかよくわからん男。ぶっちゃけちょっと怖かった。
ちなみに当時の僕は身長170ちょいで体重は58キロ。同級生の中ではかなり身長は高い方だった。
当時と身長ほとんど変わらないのに体重は30キロ近く増えてるのにはびっくりだ!
こんな凸凹な四人で初練習に向かう訳ですが僕が考えてる事は一つ・・・
「この中で落ちるのは誰か?」
そう柔道部には2年生が二人いる、そして柔道の団体戦は確か5人。
1人あぶれる・・・
順当にいけば一番体格のよくない佐藤君だろうか?
しかし実は天才柔道少年かもしれない。
中学生とはいえ武道の世界は実力世界。
ここでレギュラーを勝ち取らなければ
「おう、今村!レギュラーは今から試合だからジュース買ってこいや!」
みたいな事になるかもしれない。
しかしそんな心配は思わぬ方向で杞憂に終わる。
部室で柔道着に着替え顧問の先生と初顔合わせをする4人。
そこで先生が驚愕の台詞を吐く!
「2年生の2人はやめたので中学柔道部は君達4人です!頑張りましょう!」
!!!!
どうなる中学柔道部!?
※ちなみに野球部は山の上にある学校だったので電線がどうとかでありませんでした!ありませんでした!ありませんでした!
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