香り

9月14日。夜21時。1人だけの部屋。真っ暗、網戸。

どこからか聞こえる、お風呂の音。下の階からは両親の笑い声。それと対極な気持ちの自分、22歳。

光が消えた端末から流れる、金木犀の夜

またこの季節が来た。一番好きな香りがするこの季節。
下に降りてサンダルを履いて、暗闇に身を乗り出す。

昼夜問わず香る、金木犀の香り。
落ち着くから好きだ。それ以外はない。

ただ、少しだけ切なくなる。

いつかの日に君が言った

「その香り、いいね」

でしょ?僕もそう思う。

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