喫煙所

ガタンゴトン、ガタンゴトン
終電間近の駅で吸うタバコは、なんともいえない気持ちにさせられる。
一瞬記憶が飛んで、自分が何故今ここにいるのか理解するのに少し時間がかかった。
そうだ、地元に帰ってるんだっけ。
昨日から埼玉の友達の家に遊びに行って、酒をしこたま飲んで、たわいもない話をして、ほろ酔いのまま電車に揺られて、乗り換えの待ち時間でタバコを吸いに改札を出たんだった。

喫煙所にはいろんな人がいる。
イヤフォンをしてスマホを見ている若い男、仕事終わりであろう疲れた表情をしているサラリーマン、綺麗な服装をしているのに柄に似合わずショッポを吸っている女性。
なんだか面白い。人は見かけによらないと言われるのも納得かもな。
タバコは百害あって一利無しとはよく言ったものだけど、一利っていったいどの利を指すのだろうか。
そもそも利というのは百しかないのだろうか、タバコを吸っているから害しかないというのは間違いなんじゃなかろうか。
そんな捻くれたことを考えているうちに、乗り換えの時間が迫っているのに気づいた。

さよなら喫煙所。また吸いに来よう。
今度来るまでにタバコの一利くらいは考えておこう。

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