職人の究極技は素人には簡単そうに見えるけどそうじゃないんだよという話。

一般的にいって、職人の仕事というのは素人の人たちから見るとものすごく簡単に見えることが多い。

これは無駄が究極的に省かれていて、滑らかで最小限の動作になっているからだと思う。

例えば、僕の仕事でいえばケガや痛みへの施術。本当に軽い力でホンのちょっと触れるだけな感じでどこへ刺激を入れれば最も効果が出るのかを判断する。そしてやることといえば、1cmに満たないシールを貼るだけ。

「シールを貼るだけ」

だから、テストの段階から誰でもできそうに思えるし、受けた方としては「受けた感」がほとんどない。痛みを持った方に少しでも負担を少なくテストや治療のために痛みを感じさせることを極力減らそうとした結果が、「まるで受けた感がない」になっている。

痛みを持った人にさらに痛みを感じさせないように施術をしていくというのは、究極的に無駄の省かれた技術なわけで、そこに至るには何年もの時間が掛かっている。ただ、素人さんの眼にはそれは見えないわけだ。

では、それをサービスとして売った場合どうなのよ、というのを考えるとなかなか売れない。

まだ、素人に近い先生が痛いところをグリグリとやり、痛みを実感させる方が「受けた感」が強く多くの価値を感じる。

「この先生は一生懸命やってくれている!なんてありがたい!」

ということ。

なんか、頑張れば頑張るだけ一般の方との距離感が開いていく感じ。理屈的には開くはずなんだからそういうものかも。

この辺の職人と一般の方の意識乖離をなんとかしていかないと、一生懸命質の高いものを作っていこうとしている人たちのモチベーションは下がる。簡単そうに見えるほど極められているもの、もっと表に出るように応援もしていきたい。

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