「何で、できないんだ?」と指導者にいわれたら…
スポーツ選手を含め、誰かから何かを習っている方へ
「何で、できないんだ?」
と、いわれた(聞かれた)ことはありますか?
スポーツ選手を含め、誰かから何かを習っているお子さんの保護者の方へ
「何で、できないんだ?」
と、お子さんがいわれた(聞かれた)ことはありますか?もしくは、ご自身のお子さんにいった(聞いた)ことはありますか?
僕は、外から見たら治療院の先生。身体を治すことが仕事だと思われてるかな。でも、自分的にはあまりそうは思っていなくて、
スポーツ現場で、人は(肉体的に)どうしたら一番いいパフォーマンスを発揮できるようになるのか?
を考えて、お客様に提供するのが仕事だと思っています。
だから、ただ「どこが痛いの?」って聞いて、それを解決するためにゴリゴリ施術をするのが仕事とはあまり思っていないです。実務量的にはそれが多いかもだけど。
具体的に何が違うのかというと、「どうやったら身体が効率よく動くのかを伝える作業」が発生していること。治すというより伝えるという作業があって、最近では「伝える」の比重がかなり重くなっています。
結局、アスリートって、誰かから何かを提供してもらうだけじゃ強くならなくて、提供してもらったものを自分なりに咀嚼して実にしないと強くなれない。強くなるための知識や感覚を提供するのが僕の仕事。治療院っぽくないですね。
と、ここまでが前振りで、ここから本題です。
全身調整メニューを受けていただく選手には、きちんとメンテナンスをして動きやすくなった身体をどう使ったら効果的に動けるようになるのかを伝えて練習してもらいます。この時に人によって伝えたことを吸収するスピードが違います。
例えば、
つま先の力を抜くと身体が倒れだすからそれを使ってみようね。
といったとき、大抵はできるようになるのに結構な時間が掛かります。中には一発でできるようになって、すぐに自分の競技の中で使えちゃう天才君もいます。でも、大抵はかなりの時間が掛かります。 場合によっては1年とかそれ以上とか。
そんな時に冒頭の
「何で、できないんだ ?」
といってみても何もできるようにならないです。当たり前っていえば当たり前ですよね。
でも、多くのスポーツ現場で、「何で、できないんだ?」と聞かれている選手を何度も目にしたことがあります。 最も印象的だったのに「次も出来なかったら怒るぞ!」というのもありました。 怒られてもできるようにはならないと僕は思います。
で、自分としては教えてもできないのには、三つの理由があると思っています。 教育系の専門家だったらもっと選択肢はあるのかもしれませんが、僕が現時点で気づいているのは三つです。
一つは、「人は何かを習得するのに時間が掛かる」ということ。
これを忘れちゃってるんじゃないかと思う人はたくさんいます。 スポーツ現場のコーチだけでなく学校の先生とか保護者の方でも。 一度教えたらその場でできるようになっちゃうと思っているかのごとくです。
自分だって、昔はすぐにできなくて何度も何度もいわれたり練習したりしてきただろうに、指導者になると目の前の選手や生徒はすぐに出来ちゃうと思うのかな。
練習って、一回教わったからってできるようにならないからやるわけですよね。
二つ目は、「指導(表現)方法があっていない」です。
極論ではありますが、日本語がわからない人に日本語で話をしても通じないですよね。 そこまで極端ではないにせよ、同様のことが起きているのではないでしょうか。
つまり、指導者側が「自分の伝え方が悪いのかな。他の伝え方をしてみよう」と努力することで解決できる可能性があります。
三つ目はちょっと違う方向性の理由なので最後に。
と、二つの理由が絡み合って、指導者が教えたことがすぐには再現されないのだと思っています。
そもそも教わってもすぐにはできないし、でも、教え方を変えたら習得時間が短くなるかもねというところでしょうか。
【では、選手や生徒の「人から何かを教わる方」へ。】
もし、指導者に「何で、できないんだ?」といわれた(聞かれた)ら、すかさず
「教え方が悪いからに決まっているでしょう!」
と答えましょう。…って、できないですよね。でも、そんなところなんだと思います。
【保護者の方へ】
上達には時間が掛かるので、あまり煽らないでください。でも、もし、指導者の方針ややり方がお子様に合わないと感じたら、最悪指導者を変えることも考えていいと思います。学校担任は変えられないでしょうけど、スポーツクラブとかだったら変えられる可能性はあると思います。
幸い、今現在僕を使ってくださっている選手たちの指導者に、この言葉を使う人はあまり見当たらないです。でも、今までたくさん見てきているので、今でも世の中的にはたくさんいると思います。
今はたまたまというか僕の興味の方向がスポーツレベルの比較的高い、上位を目指す選手層です。でも、スポーツってゆったり、まったり、のんびり自分のペースで楽しむのだってありです。スポーツをする全員が上手くなる必要もないし、勝つ必要もないです。
というか、そういう競技志向の強い選手は全体のほんのちょっとしかいないはずなので、頑張りすぎる必要はないです。
【で、最後に。】
僕はそんな感じで、本当に強くなりたい人には目一杯伝える努力をさせてもらっているつもり。本当に強くなりたい時には多少の役には立てると思います。
でも、本当はそこまでやりたくない人。決して無理をしないでください。もしかしたら「何で、できないんだ?」の答えが
「本当は別にやりたくないんだよ」
だとしたら、うまくいくはずないんで。自分を含め、周りみんなの時間がもったいないので、進む方向を興味のある方向に修正することも考えましょう。
夏が終わり、だいぶ来年の進路に向けて動いている時期なので、以前より思っていることを書いてみました。まだまだ、「人に指導をしている」と大きな声大きな顔でいえる立場ではありませんが、微妙には関わり、気になっていることなので。
そして、多くの人が楽しく、安全にスポーツに取り組んで頂けたら、みんなが幸せになれると思います。
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