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バレエダンサー、プロ一年目

僕は今シーズンから海外で、バレエダンサーとして働いている。普段から文章を書くことが好きな自分は、気持ちを整理するために日記のようなものを時たま書く。今回はバレエ団に入団して間もない時の文章。なかなか青臭いことを言っているが、心が折れかけた時に負けてたまるか!と思いながら書いたのを覚えている。この時の気持ちを忘れてはいけないなと思う。そんな願いも込めつつ、人生初noteです。どうぞ。

バレエを仕事としてやっていく、ということはやはり難しい。小さい頃から習い事としてやってきた”バレエ”とは全く違うんだということを身をもって感じる毎日である。

音楽に合わせて回って跳んでまあ楽しい、の時代はもう終わったのだ。
周りと上手にコミュニケーションを取りながら求められた仕事をいかに速く、正確にこなしていくか。
難しい。
どんな仕事でも同じことなのだろうが、これが出来るようになるには結構時間がかかりそうだ。ぼくは昔から要領が悪いで有名なのだ。

もう一つ重要なのが、自分の能力を磨くこと。
己を磨く。かっこいい。
これはぼくでもできる。というかバレエを始めてきてからずっとやってきたこと。
とりあえずこっちを全力で頑張ることにした。
何をするべきか、整理してみることにする。

まずは、毎日のレッスンで自分の踊りをみがく。基本に忠実に、簡単なことほど手を抜かない。
次に、安定感があり、しっかりパートナリングもできるような体をつくる。
暇な時はとりあえずジムに行く。
シーズンが終わる頃には一通りのリフトがきちんとできるのが目標。

こんなところだろうか。
自分との戦いだ。
考えてみれば自分の最終的なゴールはあの人より良い役をもらうとか、この人に気に入ってもらうとかいうどうでもいいことではなく、バレエダンサーとして活躍すること。
自分を限界まで高めることこそがゴール。

最初に書いたような、組織に属するにあたって欠かせない部分も、あくまで自分を成長させるための試練の一部であって、はやくしないと誰々に怒られる、、とかいう余計な心配はしなくていいのではないのだろうか。

組織から与えられた仕事を淡々とこなしてその対価としてお給料をもらう、それじゃあ工場のロボットと同じだ。
じゃなくて、組織内の人全員が同じ目標の元、協力して、バレエ団だったら1つの素敵な舞台をつくるために毎日を過ごしている、それこそが組織。

そして大切なのはその一つ一つの舞台の先にどれだけ成長した自分がいるか。舞台に出れなかったとしても自分がその間に何かを得たなら万々歳。
組織に属しているのもあくまで自分を高めるため。
そう考えると今まで周りの目ばかり気にしていた自分がばかばかしい。

社会の歯車にはなりたくない。
これからもずっと楽しくバレエをするのみ。
回って跳んでまあ楽しい、僕はこの心を忘れたくない。

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