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猫とメダカとオトン

「貝太郎。海老の助。」
「メダカは?」
「メダカはメダカ。」
オトンは笑った。私はブハッ!!と吹き出して笑った。

オトンがもう寝るね、と言うので(その時19:30!夕飯は18:00。早っ!)
父娘でオトン部屋のメダカの水槽を眺めた。
「貝がまた増えたねー。この貝は何ていう貝なの?」と聞いたら出てきた言葉が冒頭のオトンおもしろ語録。

何の種類の貝かは分からないらしい。
可愛いなぁオトン。

・・・
今日も「お父さん一年分お風呂入っちゃったよー!」とお風呂から出てきたオトン。
ピカピカの笑顔をしている。
そして大好きな三毛猫三姉妹をニコニコと一人(一匹?)ずつ撫でている。
にゃんこ達もとても嬉しそうにゴロゴロ喉を鳴らす。
あんなにお風呂に入るのを嫌がっていたのに「お父さんそろそろお風呂入ってくるねー♪」と言いながら毎日入っている。
柔らかご飯もモリモリ食べて顔色も良いし、お肌も艶々になってきた。
「お父さん、だいぶ若返ったねー!」と言うと「えへへ!」と喜ぶ。

夜は三毛猫三姉妹の三女が一緒に寝てるようだ。とっても嬉しそう。
(長女と次女は私と寝ている。)

オトンと同居を始めてから私は、ほぼ毎日オトンの家に通って、引越し準備と引き払い作業をしている。
「どわぁーーー!」とか「ぐぉおー!」とか言いながら汗だくでの作業だ。
(私は手術の後遺症で右腕に力が入らないのと体力が低下しているため。)

でも、帰宅すると猫たちとオトンが「お帰りなさい!」と玄関で迎えてくれる。

オトンが、今日はね、長女ちゃんがこんなことして、次女ちゃんがあんなことして…とか話してくれる。
相変わらず朝寝と昼寝は長いけど、起きている時間も少ーしずつ増えてきた。
ヘロヘロになって帰宅してから柔らかご飯を作るのはメニューに迷って大変だし、良いことばかりではなくて、頭がパンクしそうなくらい大変なことも沢山あるんだけど…

私は、オトンが笑顔でいてくれること。嬉しいなぁって思う。

・・・

二年前
自身の病気や、仕事の忙しさでオトンの様子を見に行けていなかった私は、1回目の緊急事態宣言で仕事が休業となり、オトンの家に行った。

家の中は絵にも描けないくらいに物凄くグチャグチャで、痩せて小さくなったオトンがベッドに丸くなって寝ていた。

オトンは耳が殆ど聞こえなくなってから引きこもりとなり、家事も元々苦手で何も意欲が無くなってしまったようだ。

泣きながらオトンの家を片付けた。
確か4日くらいかかったと思う。

家の中はピカピカになったけれど、オトンはなかなか元気にならなかった。
入れ歯も痛いからと入れなくなってしまったし、食欲も無かった。何も意欲がなく寝てばかりで体力も激減してしまったし、お風呂も嫌がって入ってくれなかった。

「オトン、元気になぁれ!」と、私はいろいろと試行錯誤した。
本当に少しずつ少しずつ元気を取り戻したオトン。
(それまでの過程は「娘訪問介護日記マガジン」の記事に書いてあります。)

今年になって、ひょんなことから同居の話が出て、先週末から本当に我が家でオトンとの同居が始まった。

「お父さん直ぐにじゅんみはちゃんの家に引っ越すよ!」
とキラキラした顔でオトンが言うので、嬉しくなって先にオトンとメダカを我が家に連れて来て、今私は本格的なオトンの家の引越しと引き払い作業をしているところだ。

・・・

昨日、朝から作業していたら、暑い中での力技の作業で熱中症になりかけて(エアコンつけ忘れていただけ)早々に帰宅。

今日は作業お休みにして、引越し業者さんや、粗大ゴミ回収との打ち合わせと最終確認の連絡を家でして、スケジュール表にまとめていた。
途中、オトンがお昼寝している時、私もあまりの眠さに少しお昼寝してしまった。
目が覚めるとにゃんこ達も気持ち良さそうにお昼寝。
窓からは柔らかい陽の光が差し込んで、網戸にしておいたので外からの風がカーテンを揺らしている。
水槽ではメダカと貝太郎と海老の助が楽しそうに泳いでいる。

寝ているオトンの顔も柔らかい表情だ。
二年前に見た、小さく丸くなって寝ていたオトンとは別人のように幸せそうにお昼寝している。

オトンが起きると、楽しみにしている時代劇のTVを観ている。
私も家事をしながらチラチラと一緒に観ていたら、時代劇にハマってきた。面白いし楽しい。

柔らかご飯を食べているオトンは歯がないから食べれないものが多くて、もっといろんなものを食べたいという意欲も出てきたようで、大の苦手な歯医者さんにも行こうかな?と言い始めた。
ちょっとだけ家事のお手伝いもしてくれるようになった。食べ終わったお皿を流しに運んでもらうとか、洗濯物を取り込んでもらうとかその程度だけど、私にとっては凄い進歩だ!!と思っている。
よしよし、いいぞ!

今はまだ、引越し準備などの作業でオトンと外にお散歩とかには行けていないけれど、作業が全て終わって落ち着いたら一緒にお散歩やお出掛けに行きたいなぁ。
兄が愛犬を連れて我が家に来たら、オトンは大喜びで一緒にお散歩に行くんだろうなぁ。とかニコニコしてしまう。

じゅんみはよ!あともうひと踏ん張りだぞ!

オトンのハッピースマイル!大好きだ!

「娘訪問介護日記」から
初の「娘同居介護日記」でした。

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このnoteのタイトルは、前回の記事「早朝に」の穂音さんのコメントからつけました。

穂音さん、ありがとうございます!


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ヘッダーはオトンの水槽を眺めてたら、いつの間にかお昼寝しちゃった長女ちゃんです。


読んでくださりありがとうございます! 嬉しくて飛び上がります♪ 私の心の中の言葉や絵を見て何か感じてくださればいいなと願いつつ。