見出し画像

「走りながら考える」をやめよう

 大企業の新規事業部で働いていると「走りながら考えよう」という考えのもとでスタートすることが多いです。そして、ものすごくゆっくりと、走るというよりも歩くより遅い速度で動き始めて、3歩くらい前進した後で3ヶ月くらい停滞することがよくあります。

「走りながら考える」ことは確かに大切なのかもしれないですし、リーンスタートというシリコンバレー的な考え方に支えられているのかもしれません。

やはりここでも、安直に概念だけを受け入れることを見直す必要があります。全体の経営感を持つ人が言う「走りながら」と、大企業のカルチャーや限定的な業務経験から言う「走りながら」は随分と違ったものです。何も考えずに走り始めるとすぐに乗り越えられないくらい高い壁に衝突し、道を見失ってしまうのです。

経営感やマーケティング発想、あるいは戦略を理解している人の「走りながら」は、イシューの解像度が高い場合が多いです。つまり、ゴールまでの見通しと、どこにどのような障壁がありそうかといった想像が働いています。一方で、経営の前提知識がない人の「走りながら」は全く何も考えていません。何がイシューなのかも想像できないまま、とりあえず前身することに重きを置いています。

もしかしたら日本企業で「走りながら」といった考え方は馴染まないかもしれません。どちらかというと、走り始める前にイシューを深く整理することでディープダイブしていく方がカルチャーフィットがあるかもしれません。しかし、考えている段階でエネルギーがなくなって消滅するケースも多くあります。これは何故かというと、考えるフレームワークを持ち合わせていないからです。ある意味では考えることから逃げているのかもしれません。

どうでしょうか、この記事を読んでいる方の近くにも「走りながら考えよう」と号令を出し、駐在するコンサル会社に多額のフィーを払いながら、まるで世間に受け入れられないプロダクトを開発し始める人を見かけたことがあるのではないでしょうか。

今の日本企業に求められるのは「走りながら考える」よりも「走り始める前に、高速で思考する音」です。


今日はこのへんで

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?