【🗣️】桂春団治のことが好きすぎるあまり【続編】

　🦁の舞踊を見て「あざとかわいくて、ずるい男にたらされたい！」と俗すぎる恋心を抱いたことをきっかけに、前回の記事では「初代」について調べました🪭！

　でもや〜〜！現在、四代まで続いている桂春団治…！！今回は、ゆるりゆったり四代をたどります。
　と、その前に。「桂春団治」の紋は「菱三升の中に花菱」、出囃子は「野崎」です。
・桂春団治一門で「花菱」が使われているが、春団治は三升で囲ったものを使う。ちなみに花菱は架空の花です。
・「野崎」は「新版歌祭文」という演目の「野崎村の段」より。新版歌祭文は実際にあった油屋の娘と丁稚の心中事件をもとに作られた作品。お染久松。
　ええ感じの枕を振ったところで本題へ行きますか💪

【0代目】

・本名、生没年不明。初代の兄弟子。寄席「圭春亭」の持ち主。
・寄席に出ていたと思われる記録はあるものの、5年間ほどしかなくその後消息不明。
・芸風、全くの不明。

🌾💬ほとんど情報ないし、あってもソースのないお方。ここではあえて0代目と呼ばせてもらおう。

【初代】

1878年8月4日 - 1934年10月6日
1895年 - 1903年　桂我都
1903年 - 1934年　初代桂春団治

・詳しく書いてますんで、こちらをご覧くださいねえ。
・18歳で桂文我に弟子入り。26歳で春団治になる。
・「音」の描写や言葉遣い（言い回し）が斬新で大胆だったし、低い濁声でそれをやるのが笑いを誘った。
・早口。どもりもあった。
・話の内容は型破りに春団治の装飾が付けられた。（わりと下品なことが多い。）
・レコードを吹きまくっていたので、現在でもお声を聞くことができる。（聞くならニットーレコード、長年の専属契約で収録の雰囲気がよく、初代もノっている。）
・ことごとく、派手なものを身につけた。高座に通う人力車は真っ赤で背に菊水の紋、「春団治」の提灯。高座着は極彩色で、腕には金の腕輪。
・春団治を継いだら「桂掾（かつらのじょう）」と名乗って再び噺家をするつもりだった。

🌾💬当時、どんな理由であれたくさん声を残してくれたことに大感謝する。写真とかほぼ残ってないけど、勝手に脳内で映像化している（？）当時見た人が、狐のような愛嬌のある親しみやすい顔で、ぴくりとも笑わず低い声で話を浴びせ続けた、というような表現で記録しており、鋭い視線の初代を想像！破天荒で型破り、鬼才の様子を批判されることも多かったそうで、その批判に対する態度が出てたんだじゃないかなっていうのもある。一代で「春団治」を爆裂成長させた男の意志のある挑戦と、それを叶えるための強さと。ちょっと撚れて威嚇じみたところもあったんだろうかと思っています。
　そして、高座着を脱げば、「〜してんか。わし、〜や。」と、周りの人にふにゃふにゃの姿を晒したのではないかなあと思って萌えてる。自宅で夜な夜な猿を抱えてサイダー飲んでる初代の背中ときたら、ほんと丸っこくて小さいよな…（？）う〜！当時に行けるなら、お客さんとして恋心抱きてえ〜！

【二代目】

1894年8月5日 - 1953年2月25日
1920年 - 1921年　初代桂春蝶
1921年 - 1934年　初代桂福団治
1934年 - 1953年　二代目桂春団治

・子どもの頃より芸事を好み、素人落語をやったり、旅芝居の一座に加わったりしていた。二十五歳、初代桂春団治に認められ、一門となり春蝶を名乗った。41歳で春団治になる。
・初代からの稽古はなく聞き覚え。
・話に入ったところで羽織をパッと脱ぎ落とす。その時の脱ぎやすさのために特注した。
・大酒飲み。体格は三代目に言わせると「徳利みたいな体してました。背は僕より低かったけど、腹ばっかり出て、自分で足袋はかれへんかったんです。」
・女房孝行。
・どんな話にも生殖器や糞尿のことなどが組み込まれる。
・いつもニコニコ屈託ない様子だが、家や高座では厳格だった。
・芸に熱心で関西落語の最盛・復興に尽力した。
・最後まで高座に出た。「桂春団治全快出演者特別興行」の楽日の夜公演。初代譲りの人力車での楽屋入り。1月の寒い中を町中走ったせいで出た熱があるのに無理をして体調が悪くなった。
　楽日の昼席が終わって起きられなくなったが、夜の時間になると支度を始めた。体調を考慮して、短い話で終わるつもりで舞台に出る。見台を叩いて顔を上げると客席から「祝いのし！」と声がかかった。噺の途中で咳き込みだし、「今席のところは身体の調子が悪くて、もう噺がやれません。今夜のところは春団治にご祝儀をやったとおぼしめして、どうぞ次回、お聴き直しをいただきまして、今席はこれにて幕にさせていただきたい。」と断った。同時に裏が急いで緞帳を下す。緞帳が下りる瞬間まで、舞台上で芸人が倒れては縁起が悪いと見台に掴まって必死に耐えたそう。亡くなる1ヶ月前のことだった。
・春団治を三代目に継いだら、自分は「桂笑扇」として坊主の噺家をやるつもりだった。

🌾💬実際に見た人に「まるぽちゃの愛嬌たっぷりの男、まさに大阪顔」って言われてんの、いいよね。話し方や見た目から特濃の大阪の空気が出てた、らしいっす。写真でしか見たことがなく、お声も聞いたことないのだけど（ついでに大阪に縁もゆかりもない育ちなのだけど）可愛らしくてなんだか親近感が湧くお方だなと素直な感想。初代と比べて舞台上での尖りが少し取れていたんじゃないかしらね。
　初代に認められたのに漫才をするか迷ってぐずっとしていると、そばで見ていた別のお師匠に「天下の春団治が弟子にしたろ言うてはんのや。頼んでもしてもらわれへん人が、したろちゅうてはるのに何でお前行かへんねん」と怒られたそう。一代であれだけ名前を大きくした大スターに認められるってすごいもんね。芸事好きで、そうなるの本当に実力がメキメキだったに違いない。初代を踏襲しながらも、二代目らしさを持って活躍なさったそうで。その血を継いで名を継いでくださって本当に…ありがたい…です…。

【三代目】

1930年3月25日 - 2016年1月9日
1947年 - 1950年　桂小春
1950年 - 1959年　二代目桂福団治
1959年 - 2016年　三代目桂春団治

・17歳、サラリーマンをやめてブラブラしてた時、二代目（実父）の九州公演に荷物持ちで着いて行った。前座が倒れたので「小春」の芸名で聞き覚えの「寄合酒」をやった。よくウケたので、そのまま噺家に。30歳で春団治に。
・二代目から三代目に継がれたネタは聞き覚えの「寄合酒」と病院でつけてもらった「祝いのし」。「親父にネタつけてもらうと、笑てしまうからあかんのです。稽古にならんのです。だから、親父のネタが少ない。」と本人談。
・踊りの名手。
・羽織の脱ぎ方は自宅の鏡の前で何度も練習して仕上げた。
・持ちネタは少ないことで有名だった。（完璧にやれるものしか高座にかけなかったため。最終的には11。）
・大酒飲み、女も好き。好きな酒は日本酒か常温のビール。ガールフレンドがたくさん。達筆な桂小春団治に代筆させてマメにラブレターを送っていた。

🌾💬映像がたくさん残っているので見たのですが…夢中になりました…！登場からしてね。華やかな「野崎」の中でてきて、すっと座って「ええ、ようこそのお運びでありがたく御礼申し上げます。私、あいも変わりません。馬鹿馬鹿しいお噂をば、一席聞いていただきしてすぐさま失礼させていただきます。」…綺麗で愛らしくて華やかで、絶句…。低い声の入り、からの羽織をスッと脱ぎ、噺の世界に入る。本の1ページ目をめくったかのようなときめき。そしてこの噺の世界の登場人物はみんな可愛くて表情豊か。どんだけヤクザな奴でも汚い奴でもかわいいんですよね…。「〜しくさってこのガキ」と言っていても「小便」と言っていても、綺麗で本当にかわいいです。実物見たかったな〜〜〜…😭！

【四代目】

1948年7月20日 -
1965年 - 1968年　桂春章
1968年 - 1993年　四代目桂春之助
1993年 - 2018年　桂春之輔
2018年 – 四代目桂春団治

・17歳で弟子入り、19歳で入門。70歳で春団治に。
・ 三代目の遺言で春団治になった。初代は「爆笑王」、それを継いだ二代目、舞踊の心を持つ三代目。だから、「四代目になれたらええなあ、と思っていた頃が一番、幸せでしたな。（襲名披露では）足が震えるかも知れません。ちょっと、謙遜やけど」「どんな春団治になるか師匠も苦労しました。ぼくは三人がやらなかった人情噺で、次の五代目が苦しむようにしたいと思っています」と。
・三代目にはよく叱られ、口癖の「破門や」を言われたが、「お前は別や」と可愛がらた。
・色事師。

🌾💬当代で、情報少なかったです。高座に出ておられるので、一度見てみたい。三代目までのどの代とも違う四代目…っ。どんな世界をお持ちなのかしら、わくわくするね。

　ここまで読んでお分かりですか？？私は三代目が刺さっています！！！！！！！！！（おおごえofおおごえ）写真集や三代目のことだけが書いてある本も買いました！！！わーーーい！！！もう、これは失礼承知で「かわいい」と言わせてください…！かわいい〜〜！！
　写真集、三代目の口上から始まるんですけども。「頁を繰るごとにその時々の高座がしみじみと或いは鮮やかに蘇るのに、我ながら驚かせております。いわばこの本も、私の舞台なのでございます。（略）ほな、舞台に上がらせてもらいます。最後の頁でバレの太鼓が鳴りますまで、よろしくおつきあい下さりませ。」が全て語っておる。実物を見てみたかった私にうれしく響いたし、「おつきあい」に独特の訛りで喋りかけられている感覚がした。

三代目 桂春団治

　そして、表紙見れば分かる通り、全編美しかった。野崎詣りが表紙なのもいいっすよね…っ。出囃子が聞こえてくるようだ、アツい。

　「福団治覚え書き」では、三代目の細かいこだわりのある生活や舞台の様子を覗くことができた。几帳面な性格、思ったよりもだいぶ細かかったからここでは到底書ききれない笑　
　初代が破天荒なら三代目は繊細なわけだが、さすが「色事師・春団治」と思ったエピソードがあった。「無類の女好き」と書かれているところで「ボクはな、遊んだら、ちゃんと、ああちゃん（妻）に報告するんや。最後まで完璧にできたよって」と70歳くらいまで「現役」で胸を張っていた。「可愛いかもしれない、家に帰って来ればそれでよし」とすら思ってしまった自分の素養に引いた。で、解釈一致のああちゃんの方はというと「よかったねえ」と受け入れたそう。さすがっ。
　「福団治覚え書き」の冒頭。
　いろんなものの「形」「型」にこだわり、弟子にも同様の振る舞いを求め、できなければ「破門じゃ」の口癖。「三歩下がって師の影を踏まず」「白を黒といいくるめる」ような、住み込みの内弟子生活を経て見えたのは師匠の芸への執着だった。小手先で誤魔化す弟子に対して「お前、わしの前で二度と落語をするな」と本気で怒っていた。草場の影から「破門じゃ」と声が聞こえてきそうだが、弟子の愛情表現ゆえ、受け止めて下さい。師匠、気に障ったら、ほんま、堪忍でっせ。
　と言った内容で始まる。写真集しかり、こちらもグーっと本人に会いたくなるのでした…！むり！！

　無理だし、もう、一旦常温のビールでも飲もっか🍻

【付録：桂春団治ざっくり年譜】

①〜④で代数、（）内に年齢

【参考文献】
・豊田善敬、戸田学（1996年）『桂春団治 はなしの世界』東方出版
・富士正晴（1978年）『桂春団治』講談社
・撮影 後藤清（1996年）『三代目 桂春團治』弘文出版
・桂福団治（2016年）『ありがとう、わが師春団治ー福団治覚え書き』たる出版