ティッシュ・エキスパンダーを取り除いた

私が乳がんだと言われて右乳房全摘だと言われた時、乳腺の先生は乳房再建がありますから、と言った。今は、お腹の脂肪で再建出来るんですよ、と言われた時、それだ!と思った。

だが、形成外科へ行くと、お腹でするのを希望するんですか?と驚かれた。そして、写真を見せられて、再建してもこれではなぁ、と思った。

再び、別の先生にお話しを伺いに行って見せられた写真は、とても綺麗なものだった。

これなら、と胸は高鳴った。お腹の脂肪でと言う思いを持ちつつ、形成外科の先生の控え目な思いに押されて、インプラントか広背筋がいいのかなぁ、との思いに傾いた。

そんな時、私の胸はこのエキスパンダーに耐えられなくなって破れてしまい、徐々に皮膚からエキスパンダーが出て来てしまったのだ。

この状態でずっと待つのは無理があるので、主治医から早く出来る提案をされていた。

それは、主治医が外勤している病院で広背筋による再建をするか、それとも取り出すか、という事だった。

私の初めの思いの、脂肪での再建はそこには無く、再建はしたい、けれども、筋肉は取りたくないという思いは主治医には受け入れられなかった。

そしていよいよ、もう限界という状態で、私は迷いに迷った挙句、広背筋で、と言ったが、主治医からは今回はしない方がいいと思う、という言葉が帰って来た。

ティッシュ・エキスパンダーが皮膚をつけ抜けて出て来てしまったから。後、タッチの差だった。

後、1週間手術が早ければ、もしかしたら広背筋での再建に踏み切っていたかもしれない。

安心したというか、筋肉は嫌だと言う思いが伝わったのかな、とも思った。

ティッシュ・エキスパンダーを取り除く手術を主治医の外勤先でして入院した。希望していた、個室が取れなかったので、4人部屋になった。

そこには、何と、お腹の脂肪で再建したという人が同室にいたのだ。

主治医は、この術式は大学病院でしか出来ないと言ったあの脂肪での再建。

私は、びっくりしてしまった。ここで出来るなら、私もして欲しかった。

出来ないと言われたから、別の方法で考えて、考えて、心は揺れに揺れたから。

主治医を信頼していないわけではない。だが、やっぱりして欲しかった。

私の状態が悪かったから出来なかったのか?私がはっきりと、お腹の脂肪でしてください、と言わなかったから出来なかったのか?

わからない、わからない。グルグルと頭の中を思いが回って、整理がつかなくなってしまった。

どうしてですか?先生。

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