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夫もHSPだった!

私の家には、離婚して帰って来た娘とその子供がいる。実際には、一緒には住んでいないが、敷地内に住んでいるので、ほぼ毎日一緒にいる。

その、娘の子供、つまり孫の事が夫は可愛くてたまらない様子だった。

事件は突然やって来た。

その孫がハイハイして夫が座っているソファーの方へ近づいた時、娘が、足は汚いから、と言ったのだ。ハイハイした孫が今にも夫の足を舐めようとしていたのだ。

娘は、決して夫の足が汚いと言ったわけではない。しかし、夫はその後自分の部屋に閉じこもった。

何か変だな、と思ったが、どうしたの?というと、ちょっと疲れてるから、と言うから放って置いた。

次の日も、夫は部屋から出て来なかった。いつもなら、ご飯の時くらいは出てくるのだが、何だか様子がおかしい、これはもしかしたら、いつものはぶてにはいったのかな、と思ったが、知らん顔しておいた。

はぶてる、というのは、広島弁ですねるとか怒るとかいう意味だが、夫のそれは、子供の様にすねてしまって、部屋に閉じこもってしまうのだ。

これは、いつもだいたい私の一言が原因でなる事が多いのだが、今回は本当にはぶてているのか、それとも本当に疲れているだけなのか、わからなかった。

翌日、夫が娘がいない時に、娘が自分の足が汚いと言った事に傷ついている、と私に言った。ああ、やっぱりはぶてていたのか。あんまり、騒がずにいて良かった、と思った。

たぶん、娘も感じているのではないかと思ったが、娘にも何も言わずにいた。

夫は、娘に言われた事に傷ついて、孫をまともに見れなくなったらしい。

あんなに可愛がっていた孫が、何か異物の様に見えているみたいだった。

夫は、娘が父親にそんな事言うなんて考えられない、と言った。

世の中、お父さんの靴下は一緒に洗濯しないで、という娘も多い中、うちの娘達は、父親を邪険に扱う事はなかった。だからだろうか、信じられないとまで言うのだ。

私は、やっぱりそんな事気にしてたんだ、と言った。娘は、私にも少しきつい事を言う事がある。そんな時は、私も一旦は自分の部屋に入る。そして、泣く時もある。でも、その後ケロッとして普通にしゃべってくる娘を見ていると、何もなかったように私の気持ちも治るのが日常だ。

だが、夫はあまり娘に接していないからなのか、免疫がなさすぎる。娘からのきつい言葉など、自分には向けられないと思っていたのだろう。

薄々感じてはいたが、夫もHSPなのだろうと思った。だから、職場も何回も変わった。少々学歴が高かったので、転職は出来た。だが、だいたい一社8年というサイクルで変わったので、退職金には恵まれなかった。

社会の中でもたくさん傷ついて来たんだろうな。そんな事を思うと、少し可哀想な気もして来た。

足が汚い発言から2日経った今日、夫は夕飯の時にやっと普通に戻っていた。

孫に対しても、娘に対しても、優しい顔をしていた。

私に対してはぶてる時と比べて随分と早く元に戻ったものだと感心した。と同時にホッとした。

離婚して帰って来ている娘は、随分傷ついている。これ以上ゴタゴタしたくなかった。せめて実家では穏やかに過ごさせてやりたいと思った。

この事件で、夫のこれまでのはぶてる事件の真相がわかった気がする。

これまでは、夫を怒らせてしまった自分の発言に対して自責の念があった。

しかし、こんなどうでも良い様な事で夫は傷つき、部屋にこもっていたのだ。何だか、今まで自分を責めていた事が損した気分になった。

夫の傷つく癖は、時に人を不幸にする。今まで、どれだけ泣いて来たか。

そして、今義母も夫から嫌われて口も聞いてもらえない状態になっている。

義母はもう88才。もう、3年以上長男である夫と口を聞いてもらっていない。会う事もなく、電話も取らないので、義母も寂しいだろうと思う。

だが、今まで好き勝手に生きて来た義母だ。何不自由なく生きて、お金をばらまいて来た。その生き方に、夫は腹を立てている。

そんな事とはつゆ知らず、義母は、何で〇〇は口を聞かんのか、と言って怒る。でも、本当は寂しいのだと思う。

怒って怒鳴るので、余計に夫は逃げていく。血が繋がった物同士で何とか解決して欲しいと思うが、なかなか難しい。

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