雪が降らない所に雪が降った

まるで、雪国の様に12月に雪が積もった。
私の住んでいる所は、年に1〜2回雪が積もる程度なので、山側に家のある所以外は、ノーマルタイヤのまま年中過ごす。

雪が積もったら、車は運転しないで家でゆっくりする、が私達の常識だが、通勤、通学している人は違う。

早く起きて、歩いて仕事に行くか、歩いてバスや電車などに乗るとかして、何とかたどり着く。

それでも、昼には日がさしてきて、溶けてしまうのが普通だ。

12月に雪が積もった日、娘から、朝6時に電話が鳴った。娘は、シングルで1歳の子供を保育園に預けて仕事をしている。その保育園まで歩いて20分くらいはかかる。雪で滑らないように歩くには、もう少しかかるかもしれない。

そして、保育園から、バス停までがもっとかかる。そのバスも1時間に一本出ているかどうかのバスなので、とても仕事に行くのは無理だと思った。

休んだら？
何て言って休むん？
雪で行けません、じゃだめ？

雪で子供を保育園へ預けに行くのが難しいので、休みます、と言って1日目は休んだ。
翌日、その雪が凍って、とてもじゃないけど車が出せる状態ではなかった。

夫は、休め、と言ったが、仕事してて、雪が降ったので休みます、なんて通用する？って私も粘ったが、頑として効かない。

娘は、勝手にスタスタと一歳の子供を抱っこ紐で抱っこして保育園へ向かった。

あぁ、この時間じゃ、バスには間に合わないよ。
娘に、タクシーでいきんちゃいね、とラインを送った。

タクシー代がいくらかかったかは、私は知らないが、3〜4千円かかっただろう。

会社に着いたら、前日は全員来ていたみたいで、雪大丈夫だった？山奥に住んでるの？と言われたらしい。

いや、旧市内だから、動きが取れなかったのだ。山奥の人達は、とっくにスタッドレスタイヤに履き替えて、通常通り行けただろう。

皆んな、割と近くに住んでいるみたいで、少し早めに出れば徒歩で出社出来た様だった。

その話しを夫にしたら、夫は怒っていた。あんな雪で行けるわけがない、そんな言われ方しなくてもいいだろう。

夫が会社をリタイヤして6年が経つ。夫なら、雪の中、何としても職場にたどり着いていただろう。その社会での経験をすっかり忘れてしまったのか、その日は機嫌が悪くてたまらなかった。

娘は、今度こんな事があったら、朝早く起きて抱っこして保育園へ預けて、バスに乗って職場に行くだろう。

今までは、独り身で仕事をしていたので、子供を預けて仕事をするという事の難しさを始めて知っただろう。

ここは、1月、2月に雪が降る。12月に雪が降って積もったのは、何10年ぶりの事だと思う。

私の友人は、山を切り拓いて作った住宅地に住んでいるので、毎年タイヤは交換している。雪かきも毎年恒例の様にしているそうだ。

同じ市に住んでいても、全然違う。

旧市内の便利な所に住んでいるが為の不便さを、この度知った。