見出し画像

人は匂わせに弱いし腐女子は当て馬に弱い『奇皇后』感想

 自分にさらなる悲しみや苦しみの追い打ちをかけたいドSにしてドМドラマ視聴月間、『ミスター・サンシャイン』に続いては『奇皇后~ふたつの愛 涙の誓い~』全51話を1週間で完走しました、じゅんぷうです。

『ミスター・サンシャイン』でヒロイン、エシンの射撃の師匠を演じたチェ・ムソンがこれまたいい役で序盤で現れたので、そのまま見続けていったのですが…

 つらかった。

 何しろおもな舞台は「元」の皇室。
 実在した元朝最後の皇帝の皇后となった高麗人女性をモデルにしたドラマです。

左から元の皇帝タファン(チ・チャンウク)|ヤン(ハ・ジウォン)|高麗王ワン・ユ(チュ・ジンモ)

『奇皇后』での朝鮮半島は、時代的には高麗の27代忠肅王・28代忠惠王のころで、ドラマ内の高麗王ワン・ユには忠惠王が当てはまります。このワン・ユは臣下や民を思う誠実で勇敢な文武両道の王様として描かれていますが、実際の忠惠王はご乱交好きの暴君だったとか。おそらく歴史歪曲という批判を避けるために架空の王の設定にしたと思われます。

 高麗以前から、朝鮮半島に興った国家はもれなく中国の歴代王朝に服属するという関係性が李氏朝鮮まで続きます。のちに奇皇后となるヤンは高麗から元に貢物として差し出される貢女(コンニョ)でしたが、その人生といったら、

貢女として連行中ワン・ユの助けで逃亡。母は殺され
遺言「女に産んでごめんね」😢
⇒少年「スンニャン」として成長し武術を習得
⇒高麗でならず者集団の長に。ワン・ユと協力して密貿易を暴く
⇒高麗の治安部隊の兵士に抜擢
⇒高麗に流刑になった元の皇太子タファンを護衛
⇒父が皇太子暗殺の罪を着せられ獄中死
⇒奴婢として元に連行中、女であることがバレる
⇒宮廷の雑用係になり女同士のバトルを制する
⇒皇帝となっているタファンの世話係
⇒皇后タナシルリのスパイテストに合格するも騙し討ちをお見舞い
⇒女官をクビ、ワン・ユの臣下に戻る
⇒ワン・ユと相思相愛、求婚に応じる
⇒追われる身になると同時に妊娠発覚
⇒皇后の刺客により高麗の仲間を皆殺しにされる
⇒追われながら洞窟で出産
⇒赤ん坊は刺客もろとも崖下へ、ヤンも矢で射抜かれ転落
⇒命は助かるが奴婢として売られる途中ペガン将軍に助けられる
⇒復讐のためペガン将軍の養女として皇帝の側室に…才人→貴妃→皇后

 という怒涛の出世すごろく。
 この間、ワン・ユもワン・ユで元の人質になったり廃位されたり復位したり奴婢扱いになったりとジェット・コースターです。

 その初恋の人ワン・ユとピュアなタファンの間で揺れるヤン。このドラマのメインのラブラインはこの3人でがっちり固定なんですが、ちょっぴり絡んでくるのがヤンの敵であるタンギセ(キム・ジョンヒョン)。女のにおいがする!っていち早くヤンを女と気づいた彼は征服欲からヤンに執着していた感じですが、こんな因縁がなければキャラ的には意外とお似合いだったかも。
 そのタンギセの弟タプジャヘ(チャ・ドジン)。まったくいいところのなかった彼ですが、顔面的には控えめにいってタイプでした。

タプジャヘ。モンゴル人の髪型、みんなおしゃれ

 肝心なのはここからです。

敵に回したくない男、タルタル

 個人的に、すぐ元の人質にされちゃう立場のワン・ユよりも何かと依存体質のタファンよりも、最初から最後まで気になる存在だったのがこちら、タルタル様

一糸乱れぬ前髪も気になるこのビジュアル。TMN時代の小室哲哉氏を彷彿とさせて、戦闘服スタイルにショルダーキーボードをコラージュしたい欲求が盛り上がりっ

 元の武官で、叔父ペガン将軍の片腕としていつも冷静に空気を読み戦略を立てる、隙のない方。軍師として完璧なんです。

 序盤はペガンとタルタルの立場もどっちつかずで、権力争いに負けて消えていく小物なのかなという感じもありましたが、ずっとお会いできました。どころか、後半になればなるほどビジュアルだけでなくどんどん魅力的に…。

 ペガンという人は皇室の忠臣でありヤンと志を同じくしたときもありますが、強大な実権を握ったあとはモンゴル帝国主義の危険な人物だったのです。で、その叔父をつねにサポートしているタルタル様は、凄腕だし策士だし教養も深い。帝国を安定して統治するには武力だけじゃだめだという見識をお持ち。

 ヤンをペガンの養女として皇帝の側室候補に仕立てるとき、タルタルがヤンに教育を施しました。いわゆるお妃教育から兵法まで。このときから二人は師弟になったわけですが、おそらくわたしを含め多くの女子が「ほんとに師弟関係だけなの?」「タルタル様はヤンを好きなの?」と悶々としたと思われます。

こちらはTwitterから。ヤンのハ・ジウォンとは一時熱愛説もあったそう

 演じたチン・イハン的には、タルタルにはヤンへの恋愛感情はまったくないとのことなのですが、匂わせ演出がちょいちょいあって(意図は違うかもだけど)、そのたびワン・ユやタファンとのシーンとは違うキュンをいただけたわけです。タルタル様が魅力的すぎるから匂わせと受け止めてしまうのよ。あの低音ボイスで密談されたら内容入ってきません。

 内容もハードで全51話と長丁場だったので、さすがに疲れました。
 時代劇の惨劇には慣れていますが、今回、焼きごての拷問がどうにもきつかったのでそろそろお気楽な番組視聴に移るかもしれません。

いただいたサポートは①心と体の栄養②妄想と仮想を現実化③さらなる発信のために使わせていただきます❣