カルテットについて
面白すぎるね。
批評家になりたい訳じゃないけど、なんで面白いのか分析したくなったので書いちゃいます。
カルテットが面白いのは
①脚本の展開の速さ
②正解ではなく別解
③登場人物のディテールとそれに付随する会話
の3つに集約されると思う。
①については皆さんもわかる通り本当に展開が早い。飽きさせない。そして大豆田とわ子でも言えることだけれどその回その回に主役が入れ替わっている。最初の4話でそれとなく自己紹介がてら彼らの過去が説明される。カメラのフォーカスが少しだけ彼らにむく感じ。それが飽きない理由だと思う。
②正解ではなく別解。
これがある作品はだいたい好きなんだよな…。
何話か忘れたけど蕎麦屋でのシーン。普通すずめちゃんは親に会うべきだと思う人が大半なんじゃないかと思う。親の死に目には立ち会うべきだという世間の圧力。普通に生きていたらそれを当たり前だと思ってしまう。だけどこの作品の中ではそうはならない。そういう圧力から別解によって救われる人、多いんだろうな。少し楽になるというか。自分で自分に「こうであらねば」を押し付けている人多いんじゃないか。そういう人たちは少し楽にこれからを生きていけるよね。
③ディティールとそれに付随する会話。
そしてこれが1番の要だと思っている。坂元裕二の書く人間は本当にディテールに凝りすぎている。それがよいのだよね。唐揚げの食べ方やレモンの絞り方、おつまみの食べ方まで…。1人の人間の人生、過去から現在に至るまでを考えているんだろうな。だから、彼らの人生のなかで経験された価値観が、会話や小さな言動に表出される。
脚本を書いてから配役が決まるのか、配役が決まってから脚本を書くのか分からないが、ハマり役という言葉がもったいないくらいにその役にマッチしてる。
こういう過去があったから、いま、この話題には敏感になっている。みたいなものに視聴者は気づける。見れば見るほど細かいところが現れてくる。こりゃあおもろいよ…。
彼らの会話は伝わるか分からないけどセックスの別の形という感じがする。ああいう会話で欲を満たしている部分もあり、楽しんでいる部分もあり、自己を表現している部分もあり、エゴもあり、という感じで。セックスについてはようわからんけども。
でもそこに登場する会話ってなんかお洒落だし、機知に富んでるし、面白いのよね…
ここいう事に憧れるわ…となる人多そう。それに個性が強くてめんどくさい人間ばっかりだから嫌味がないのよ。
嫌味のなさって大事なのかもね……。
まとめ
この作品の副題が「大人の恋はやっかいだ」になってるけどこれってどうなのかな……。
「こんな私たちですが、」
とかがいいんじゃないか。それぞれ自分の人生に何か負い目を感じてるけどそれでも正しいと思ったことをモゴモゴしてるのがこの作品なんじゃないか。別にこれでいいじゃないか。
魅力を一言で表すなら「登場人物の日常の掛け合いが視聴者の日常に還元される」
なにげない日常パートみたいな所こそ、人間らしさがあって、その掛け合いが僕たちの価値観に微かに影響を与えることが出来て、それがプラスの方向にも働いてしまうようなそういう魅力がある。明日からこういう風に物事をみれるぞ、的な。
さらに、この世に疑問を持ってる人。誕生日を手放しで喜べないような人には向いてる気がする。こういう、疑って考えるのが悪い事じゃないと罪悪感から解放されてる。
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