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Road to master 5粒目

「蔦珈琲店 前編」
南青山に「蔦珈琲店」(港区南青山5丁目11−20)という喫茶店があります。珈琲の学校の先生に薦められて足を運びました。

ここは今まで僕が訪れてきた喫茶店とはなんとなく放っているオーラというか雰囲気が違いました。店内の見えない扉、入口迄深く茂る『蔦』。僕は一呼吸置いてその扉を開けた。不思議だった。テーブル席は緑の庭園が見えるガラス壁。綺麗な陽射しが差し込んでいる。今までは喫茶店に訪れると自然と「カウンター席」ではなく「テーブル席」に座っていた。
なぜかカウンター席にはプレミア感があった。カウンター=常連さんみたいな勝手な固定概念。

しかし蔦珈琲店に入って僕は本当になんの迷いもなく「カウンター席」に腰を下ろした。まるで自分が何度もこの店に訪れている常連のように。引き寄せられたようにカウンターに座った。

僕は事前に調べていたメニュー「クロックムッシュ」「珈琲」を頼んだ。カウンター内が一段上がっていて少し僕の目線の上で作られていくクロックムッシュは見たことのない彩りと迫力だった。クロックムッシュの名前の由来通り『ザクッ』と時計の針が進む音の様にトーストナイフが入り、オレンジが添えられ、何故かヤクルトが1本のり、そこにクレソン等の緑の野菜が山のように盛られた。「綺麗な料理だな。。」小さい声がでていた。盛り付けをしていた女性がその声が聞こえたのかにっこり微笑んだ。そしてタイミングをあわせたように珈琲がでてきた。青の一輪の薔薇が咲いた美しいカップで。大倉陶園のブルーローズ。美しい。
僕はこのパンメニューと珈琲を見て思った。

そうだ、僕は美しい物が好きなんだ。

僕は女性にとりあえず何か話をしたく手にとったヤクルトを見せて「なぜヤクルトがおまけでついてるんですか?」
と尋ねた。

女性はクスッと笑って
「是非マスターにきいてみてください。」
とカウンターの奥にいる男性を指さした。

蔦珈琲店のマスター小山さんである。
マスターとの出会いがまた僕の『どんな喫茶店をオープンさせるか』という事の閃きの礎となる事になる。。。

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