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ラノベ感想「戦翼のシグルドリーヴァ Rusalka(下) 」

再び飛び始めたルサルカに神が保護を命じた姉妹は失った彼女とあまりにも似ていて……。
大切な人を守りたいという少女の願いが、人類のために命を捨てる男達が、様々な想いをのせて戦場の空は砲火に彩られていく!

※※ 以下ネタバレ ※※

「ヤドリギ」の出現に出撃しようとしたアルマにオーディンが投げかけた「スヴェイズ」という言葉。
人名のように思いましたがオーディンが認めたワルキューレに与える称号というのが最後に明らかになりました。
オーディンはすでに称号を与えるワルキューレを選んでいたということですね。

流れ弾から皆を庇ったナタリー。
彼女がいた場所には一輪の花が……。
ひょっとしてヤドリギにより神木化してしまったのか!?
ところが彼女はひょっこり現れてツッコミをいれるのですが、この時に受けたのではなかったにしろ、彼女の神木化がこの後の課題となっていきます。

大抵状態異常はその元凶を倒せば解除されるものですが、それがならないという残酷な展開には重いものを感じました。

ギャラルホルンの完成に必要なシーリーンの協力を得るため、ルサルカ達が卑怯で卑劣と分かっていても彼女に頭を下げ、シーリーンが「囮にでもなんでもすればいい」と諦めと嗚咽ながらに承諾するところが泣けました。
自分のためのそのやり取りを見ていたナタリーが高潔を貫こうとし、それもどうにかしたいという周囲のエゴに潰されたという言葉が印象に残りました。

エイミーがアレハンドロの妹であり、その記憶が消されていたというのが分かり驚き。

ヤドリギとの決戦に向けアレハンドロが兵士達に抜けたい奴は抜けろと言いますが、アレハンドロの「この大馬鹿野郎共め」という言葉とともに誰も抜けなかったというのが熱かった。

ギャラルホルンの完成はシーリーンの存在と引き換え。
誰からも忘れられる彼女を覚えている『見届ける者』としてルサルカが選ばれます。
シーリーンはルサルカが一番傷にしてくれそうだったからという理由で彼女を選んだと言いました。
その後その場に現れたアレハンドロに「もしかしてあなたもそうなの?」と投げかけます。
最後に明かされますが、実はアレハンドロはすでに死亡していてオーディンに生かされている存在。
この「あなたも」というのはひょっとしてルサルカもすでに死者であるという意味なのではないでしょうか?
オーディンに『見届ける者』としての役割を与えられて。
そもそも「ルサルカ」という名前はスラヴ神話に登場する水の精霊で、亡くなった女性の幽霊とも言われているそうです。

そして始まる最終決戦。
苛烈を極める戦いにワルキューレも英霊機も次第に疲弊し補給を余儀なくされることに。
そこで名乗りを上げるのがここまで戦場の影でワルキューレ達を支えてきた男性パイロット達。
未来のために死しか待っていない空へと飛び立って行きます。
アレハンドロも彼らの想いを汲み冗談を交わしながら送り出します。
涙は心の裡に秘めて。
エールを求められかつて応えられなかった歩兵隊長との会話を思い出し「愛しています」と伝えるルサルカ。
女神の愛を受け命を散らしていく男達に泣けました。

遂に敵に手が届く所までやってきたけれど残ったのはルサルカとアルマの二人。
あと一人を埋めるためにナタリーが出撃しますが、その身体はすでに神木化が進んでいました。
それでも敵の攻撃を躱しコアに張り付くナタリー。
ナタリーの信号弾でコアの位置は分かりました。
ナタリー・チェイスの最期の地も。
そのままではナタリーまで巻き込むと逡巡するアルマにナタリーは「約束を守ってくださいましね」と告げます。
そして炎に包まれるヤドリギ。
アルマの胸の若木はナタリーが連れて行ってしまった。アルマは連れて行ってくれなかった。
ナタリーの最期に泣けました。

多くの犠牲のうえに掴み取った勝利。
しかし基地に戻ったルサルカ達が見たのは神木と化した勇敢な司令室の仲間達。
ギャラルホルンの完成と共にクラウディアからシーリーンの記憶も消えていました。
とても重い幕引きでした。

アレハンドロの生存に一時喜びましたが、すでに死んでいた存在だったのは驚きました。
オーディンが姉妹の調査に選んだのが死んでもいい3人だったからというのも、慈悲に満ちているように見えるオーディンの非情な部分が見えて気になりました。

不器用なルサルカがアルマに偽りの義憤を植えたことがアニメでなにかあるのか気になります。
最後はエイミーとアレハンドロが再会できてホロッとしました。

とにかく熱い最終決戦に涙が止まりませんでした!

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