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『ソー : ラブ&サンダー』感想。

2022年7月16日(土)

グランドシネマサンシャイン池袋で『ソー : ラブ&サンダー』(IMAXレーザーGT3D字幕版)。

マーベルはフェーズ4においてのクオリティ・コントロールが指摘され、ソーも前作『ソー : バトルロイヤル』より評価が低かったりするようだが(とはいえ北米週末興行ランキングは1位)、自分はかなり楽しめたし、好きだこの作品!と思えた。フェーズ4の映画のなかではノーウェイ・ホーム、エターナルズに次いで好きだ。

そもそもタイカ・ワイティティ監督の作風・作家性が自分の好みなんだと思う(バトルロイヤルもジョジョ・ラビットも大好き)。ギャグセンスも自分に合うし(ラブ&サンダーも観ながらかなり笑った)、ギャグとシリアスの塩梅がホント上手いなといつも感じる。ぶっ飛びとエグさの度合いはジェームズ・ガンのほうが上だが、ワイティティのギャグはアクション含むシリアス部分を結果的に際立たせる効果がある。特にギャグがその場限りの笑わせじゃなく、やがて泣きやロマンティックに接続するところがいい。

以下、ネタバレ多く含むので、これから観る方はご注意を。

ラブ&サンダーは、思っていた以上にロマンティック成分の多く含まれた作品だった(ソーとジェーンのやりとりはロマンティックコメディふうだった)。悲しさもあった。ロマンティックと悲しさは背中合わせで、それでも(またはだからこそ)闘うわけで、そこだけとればノーウェイ・ホームのスパイダーマンにも通じている。

そもそもソーは悲しい宿命を背負った人(神)だ。両親も弟も母星も失って、自分探しをして、そして今回は……。ソーは1作毎に誰かを失っていく。それでも誰かを恨んだりは決してしないわけですよ。今回もあんなことになりながら、慈悲深さ、高潔さがやっぱり発動する。本質的に優しいのだ。ラブの人(神)なのだ。

IQの高さで事件を解決していくヒーローは多いし好まれるけど、対してソーは「気は優しくて力持ち」みたいな、ある意味昭和の漫画的なキャラで、そもそも自分はそういうヒーローに思い入れてしまう。アイアンマンやキャプテンやブラックパンサーやストレンジのような深刻さを抱えず(抱えたとしてもそうは見せず)、悲しい境遇でも明るくバカっぽい、そんなソーを見ているとなんだか元気が出るのです。

そういうソーというキャラクターの魅力が、今作は120%表現されていた。単純に言って、ソーのことがますます好きになったのだった。

ほかにいくつか(*ネタバレ多数です)。ジェーン=ナタリー・ポートマンが帰ってきたのは単純に嬉しかったし、成熟した大人の女性として素敵だった。/ ヴァルキリー=テッサ・トンプソンが今回もまたかっこよかった。見せ場は少ないわけではなかったが、もっと増やしてほしいとすら思った。ヴァルキリー単体ドラマを見たい。/ ゴア=クリスチャン・ベールがヴィランとしてちゃんと怖くてヤバくて妖しさもあって、歴代ヴィランのなかでもトップクラスに魅力的。/ コーグ、すげえいいやつ。そして、これまでの物語を子供たち及び映画を観る者たちに説明する語り部の役割も担っていて、その声がワイティティ監督自身であるのもなるほど、と。/ ヤギ、うるさい。けど、意外にもちゃんと大事な役目。/ 子供たちに戦わせるのはちょっとどうかと思ったが、最終的にそれが活きてきて上手いな、と。/ ガーディアンズにもう少し絡んでほしかった気もするが、あれ以上出番増やすと散漫になりかねないし、序盤だけでも行き場のなかったときのソーにとって彼らがどれほど重要だったか(家族的な存在だったか)わかったので、あれはあれでよかったと思う。/ 歴代MCU作品のなかでもバトルシーン多めで、しかも正面からごまかしなしに迫力持たせて描かれていて、単純にアガった場面がいくつかもあった。/ ムジョルニアとストームブレイカーにそれぞれ人間的性格が宿っているようにも見えて、それがソーとジェーンの愛のやりとりにも結び付いているの、いい。/ ゼウス、その場限りの捨てキャラかと思いきや……。

本編の終わり方は素晴らしいと思った。この物語でこれまでのソーの旅にひとつの区切りが付いて、ここからまた新しい旅が始まっていくんだなと嬉しくなった。主役が次々に退場して世代交代していくMCUだけど、ソーの旅はまだまだ続く。つまりはそれくらい魅力的な人気キャラだということ。嬉しいね。


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