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『りりィ 私は泣いています』

2024年2月29日(木)

アップリンク吉祥寺で、『りりィ 私は泣いています』。

2016年に亡くなられたりりィさんのドキュメンタリー映画。といっても、りりィさんが喋っている映像はなく、彼女の生い立ちが詳しく語られるわけでもない。過去の映像もほとんどない。

柱となるのは、りりィさんとパートナーだった齋藤洋士さんが組んだ「りりィ+洋士」の2013年~2015年の4公演を記録したライブ映像(2022年に『りりィに会いたい』というライブDVDになって発売されている)で、そこに映画のために新たに撮られたりりィさんと深い交流のあった人たちの言葉が混ざっていく作りだ。

りりィさんがどういう人だったかが、親友だった研ナオコさん、山崎ハコさん、息子のJUONさんら数人の口から語られる。が、誰よりも、りりィさんを失ったことで絶望し、その喪失感からアルコール中毒に陥ってしまった齋藤洋士さんの言葉が多く、それがもうひとつの軸になっている。りりィさんのドキュメンタリーという以上に、絶望を乗り越えんともがく齋藤洋士さんの物語であった。

りりィさんは、1997年のテレビドラマ『青い鳥』以降、女優としても活躍された。僕は当時、どうして女優の仕事をこんなに積極的にされるようになったんだろう?と思っていたのだが、その理由が豊川悦司さん、岩井俊二監督の口から語られ、それでわかった。

終映後には、齋藤洋士さんのミニライブがあり、深沢剛さんがハーモニカを吹いて、洋士さんはアコギ弾きながら3曲歌った。洋士さんはアル中からはどうにか脱したが、言語障害がまだ残り、足も悪いそうだ。が、歌うことは問題ないそうで、実際、歌はとてもよかった。イーグルス「ならず者」のメロディに別の日本語詞がついた「ありがとう」、それから斉藤哲夫さんに「これを歌え」と言われて歌うようになったという中島みゆきさんの「時代」が心に響いた。

真ん中が齋藤洋士さん。


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