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「泉谷しげる×仲井戸“CHABO“麗市 ロックンロールハート」@EX THEATER ROPPONGI

2022年5月17日(火)

EX THEATER ROPPONGIで、「泉谷しげる×仲井戸“CHABO“麗市 ロックンロールハート」。

2年何ヶ月ぶりって言ってたかな、そのくらい久しぶりのチャボの有観客ライブ。相手は泉谷しげる。泉谷にとっても有観客は相当久しぶりのはずだ。「よりによってこんなやつと」とチャボは言ってたが、実際のところ、泉谷とだったら…ということで有観客をやる気になったんじゃないだろうか。

ふたりが出会って50年なんだそうな。その50年の、楽しいこともそうじゃないこともいろいろ経ながら積み重ねた関係性だからこその歌と喋りのやりとりを、この夜も大いに味わうことができた。

このあと地方公演もあるようなので、詳しい内容や曲目は控える。が、少しだけ触れると、まず前半がとてもよかった。チャボが選んだ曲を泉谷が歌う。チャボが選んだそのいくつかの曲は、誰もが知ってるという曲ではなく、泉谷の作品を初期からちゃんと聴いてきた人ならば知っているというぐらいの、言わば隠れた名曲群。僕はそのどれもを好きで昔さんざん聴いた曲だったので、序盤から「おおっ、これやるか」と熱くなった。

泉谷は喉の調子が悪いようで、それでもやたらと大声で叫んでいたが、定番のロック曲はあまりいいヴォーカルではなかった。が、チャボが選曲した隠れた名曲、名バラードのときは、その掠れた声がむしろ活きていた。チャボの選んだ隠れたスロー曲を歌ったときの泉谷はとてもよかった。一番沁みたのは「仲井戸が立ってオレが座って歌ってることの意味がわかるか? オレは加奈埼をやってんだよ」と言って始めたあの曲だ。それに、泉谷の横でギタリストに徹していたときのチャボのギターがまた素晴らしかった。信頼する誰かヴォーカリストの横で弾いてるときのチャボのギターは本当に最高だと、改めてまた思った。

チャボは一貫してかっこよかった。あれで70代とは。コロナ禍での引きこもり生活がよほど性に合っていたのか、むしろまた若返った印象だ。2年数ヵ月ぶりの有観客ライブとはいえ、コロナ禍の間も無観客ライブはずっと続けてただけあって、ギターも歌もポーズの取り方も全ての精度が1ミリも落ちてない。進行の仕方もスマートで、泉谷とは真逆だった。

泉谷はうるさかった。チャボに頼りすぎだし、甘えすぎ。進行をさえぎる長い無駄喋りが多すぎだ。が、それをチャボがテキトーに流して、次の曲を歌わせる。そうすると、いい歌をうたうのだ、泉谷が。

総じて、チャボが泉谷のいいところを引き出していた。泉谷は泉谷の定着された暴れん坊キャラを未だよしとしてやり続けていたが、チャボはそうじゃない泉谷のよさをわかっていて、そっちを引き出した。泉谷自身が忘れている泉谷の昔のいい曲をセトリに組み込んだ。チャボは泉谷のいいところを泉谷よりも遥かにわかっている。そう思った。

74歳と71歳。チャボのあんな曲こんな曲。泉谷のあんな曲こんな曲。僕が大好きで聴きたかったレア曲もけっこうあった。しかも(1曲を除いて)全編アコギ演奏。それであんな音が出せるんだから、すごいよな、とも思った約3時間だった。

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