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FUJI&SUN '24

2024年5月11日(土)~12日(日)

静岡県富士市「こどもの国」で、「FUJI&SUN'24」。

このキャンプフェスに参加するのは、2年振り、2回目。

自然が豊かで、環境としていい。なのにそこまで人が多くなく、一定のリラックス感(いい意味での“ユルさ”)が保たれている。子供連れも多く、親も子もみんな生き生きと楽しんでいる。同じ時間帯にライブがそんなに重ならない。メインステージでのヘッドライナーのあと、キャンプサイトではDJがまわして野外クラブ的に盛り上がる時間もある。かといって深夜までやってるわけではなく、ほどよい時間に終わるのでちゃんと睡眠もとれる。東京からの距離感など、いろいろちょうどいい。なので疲れない。そんなフェス。

ただ天気はというと、雨に降られなかったのはよかったけれど風が冷たく、特に2日目は日の照る時間がなくてだいぶ寒かった。前回(2022年)キレイに見えた富士山も、1日目の早い時間に顔出したくらい。FUJIもSUNも隠れてないで出ておいでよ、と言いたくなった。

前回はメインステージであるSUN STAGEの近くにテントをはったのだが、今回は2番目のステージであるMOON STAGEと、DJやラップを主体とした3番目のステージであるSTONE CIRCLEのどちらにも近いフォレストキャンプサイトを拠点としたため、より”森の中”感があって、キャンプそのものを楽しむことができた。また参加するとしたら、やはりフォレストキャンプサイトにしようと思う。

1日目に観たアクトは以下の通り。

優河 with 魔法バンド→cero→Fabiano do Nasciment×石若駿→食品まつりa.k.a foodman→くくく(原田郁子&角銅真実)→くるり→Hedigan's→EYE→石野卓球→HAPPY。

久しぶりに観たceroはどうしたってダンスしないではいられなくなる、そういうグルーブがより増していた。リズムは複雑めのところもあって本当に高度な音楽をやっているなと実感できるのだが、MCになると途端に若々しい……なんなら学生バンドのようにもなるのが相変わらずで、こういうところはずっとこうなんだなとニッコリしてしまった。

STONE CIRCLEで聴いた食品まつりa.k.a foodmanはバッキバキの音で知らぬ間に陶酔。入り込んでいたら時間感覚を完全に失った。これは夜から深夜帯に聴いたらさらにやばかったなと思ったり。

この日のベストアクトはぶっちぎりでHedigan's! 今回は彼らを観たくて行くことを決めたと言ってもいいくらい楽しみにしていたのだが、ライブの回数を重ねてさらに狂気を含んだ最高のライブバンドになっていた。とにかくメンバーひとりひとりが演奏することをどこまでも楽しんでいて、それがひとつになる様を楽しんでいる。メンバー全員、音への入り込み方がハンパじゃない。特に今回は「敗北の作法」で鍵盤のユウスケが狂った動きを見せていてやばかった。ギターのまーちゃんもこの曲の後半で凄まじいプレイを見せていた。ヴォーカルの河西“YONCE”洋介の佇まいは孤高という言葉も似合うもので、観る者全員を引き付けるある種のカリスマ性、あり。声の発し方もメロディへの乗せ方もルール無用で、Hedigan'sでライブを重ねる度に自己解放の度合いが強まっていってるように見える。彼だけじゃない、メンバー全員がそうだ。いやそれにしても「敗北の作法」の終盤の爆発力はとんでもないな。早くまた次のライブを観たい。

STONE CIRCLEでのEYEは、灯りを消した暗闇のなかでプレイ。ありとあらゆる音を混ぜながらバキバキに、発狂した感覚で聴かせて躍らせる。工事の音とジャングルの音とが混ざったような(?)。そのあとMOONで石野卓球のDJを聴いたんだが、EYEのあとだとずいぶんポップで単純なものに聴こえてしまった。そのくらいEYEがとんでもなかったということだ。

最後はHAPPYの静かなるサイケデリック表現で日にちまたぎ。誰かのためでなく徹底して自分たちの好きなことだけをやるのだという姿勢を変えずに貫いているのがいい。

2日目に観たのは以下の通り。

maya ongaku→HIMI→Campanella→シャッポ→鎮座DOPENESS→Dos Monos→KID FRESINO(band set)→柴田聡子。

前日の終わりがHAPPYのサイケでチルなライブで、そのあとテントで数時間寝ているわけだが、目が覚めてからも何か夢の続きを見てるみたいな感覚を、午前中のMOON STAGEでmaya ongakuを座って観ながら(聴きながら)味わっていた。

ところでこの日はラップ~ヒップホップ系アーティストも何組か出演するとあって、前日とはずいぶん違った客層。いかにもラップ音楽が好きそうな若い男子がけっこう多かった。

STONEで観たCampanellaもラッパーのひとり。とても誠実そうなパフォーマンス。途中で鎮座DOPENESSが飛び入りすると場の空気がたちまち変わり、観ていたみんなが総立ちに。鎮座、やはり華がある。また最後にはエゴラッピンの中納良恵も参加。のびやかな声が空へと放たれた。

この日のベストアクトはSTONEで観た鎮座DOPENESSだ。しびれまくった。これまで誰か(例えば環ROYくんとか)との共演ライブとか誰かのゲストで出たときに何度か観ているが、そういえば鎮座のライブを単独で観るのはこれが初めてだったかも。単独となるとこんなにすごいのね。圧倒的に開かれていて、何度かステージから降りて客のなかに入ってグルッとまわってまたステージに戻ったり。スキルも声の出力も乗せ方もメリハリも全てにおいて別格だった。みんなとっくに知ってるだろうけど……天才ってえのはこういう人のことを言うんだなと改めて強く思ったな。

Dos Monosは初めて観たが、何かこう表現の焦点を絞りきれてない感じ。どこに向かっているのかが見えてこなかった。またKID FRESINO(band set)は、バンドの音は豊かで膨らみもあってよかったのだが、FRESINOの声の出し方がやけにラフに感じられてしまい、迫ってくるものに欠けた印象。好きなんだけど。数曲で動いてしまった(あとで鎮座が参加したりもしたらしい)。

ところで、2日間で石若駿の活躍っぷりが凄かったな。Fabiano do Nascimento × 石若駿、くるり、HIMI、KID FRESINOバンドと、2日間で4ステージも。しかもそれぞれでプレイスタイルがけっこう変わっていて。たいしたもんだなぁと改めて思ったり。

これが今年のキャンプフェス始め。音楽と自然とお酒があれば全てはオーライ。初めて観るアクトもけっこうあって、いろいろ吸収できた。出演者がよければまた行こう(できれば始まった頃のように海外アーティストも何組か呼んでいただけるといいのだが…)。


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