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『ベルファスト』感想。

2022年4月9日(土)

TOHOシネマズシャンテで『ベルファスト』。

1969年8月、突如北アイルランドの民族紛争に巻き込まれた1969年の都市ベルファスト。暴動と分断の最中で、それでも小さな子供は明るく純真なまま非日常的な日常を生きていく……といったお話。といえば、舞台は異なれどタイカ・ワイティティの『ジョジョ・ラビット』とか日本のアニメ/漫画『この世界の片隅に』とか、近年もそれに近い設定の物語がいくつかあったが。この『ベルファスト』もいま観ておくのがいい作品ではあった。

メッセージは明確だし、絶賛するひとが多いのもよくわかる。ただ、自分はちょっと食い足りなさが残ったな。撮影のアングル、構図などがキマりすぎ・見事すぎで、生々しさが希薄というか。洗練されすぎ。ヴァン・モリソンの曲はもちろん素晴らしいし、入れ方もうまいんだが、その「うまさ」がかえって仇になるというか、なんか長尺のMV見てるみたいな気持ちになってきて。モノクロとカラーの反転とか、ジュディ・デンチのアップとか、すごく印象的なんだが、そういうのにもちょっと監督の「ドヤ感」がすけて見えちゃった。

自分はタイカ・ワイティティの『ジョジョ・ラビット』が大好きで観たとき大泣きしたんだが、『ベルファスト』はある意味対象的で、スタイリッシュすぎて情感に訴えかけてくるものがあまりなく。もちろんエモけりゃいいってものではないが、もう少しこう表面的ではなく深く揺さぶられたかったというのはあったかな。

脚本・監督・制作のケネス・ブラナーの半自伝だそうだが、素晴らしき父親・母親始めいろいろ美化しすぎではないかという気もちょっとしたり。まあノスタルジーとはそういうものかもしれないが。


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