TiA@ビルボードカフェ&ダイニング
2020年2月24日(月・祝)
日比谷のビルボードカフェ&ダイニングで、TiA。
米国最大級のゴスペル大会「マクドナルドゴスペルフェスト」にて3年連続でファイナリストになり、昨年はデビュー15周年を記念した7年半ぶりのフルアルバム『MIRACLE』もリリースした実力派シンガー、TiA。実は彼女がデビューした当時に1度インタビューしたことがあったので、そうした最近の活躍を嬉しく思っていたところ、ライブにお誘いいただき、観に行った。僕が彼女のライブを観るのは今回が初めて。
バックは日本人のピアニストとサックス奏者に、途中数曲ではアメリカから来ていたドラマーがカホンを叩くというシンプルな編成。前半は自身の代表曲、中盤ではMISIAやJUJUのカヴァーも歌唱。その歌声は伸びやかで実にパワフルだ。が、場の空気が変わってさらに熱を帯びだしたのは、ライブ後半で29名のクワイアが登場したところから。初めの曲でそのひとたちがステージ横にズラッと並んで歌っていた段階から声の厚みに「おおっ」となったが、そのあとTiAが客席に分け入り、クワイアが観客たちを囲むような状態で(何人かは観客たちのなかに入る形で)「オー・ハッピーデイ」などを歌ったときには、まさに教会的な臨場感が。TiAはゴスペルシンガーとしての力を遺憾なく発揮し、観客たちも手拍子したり一緒に歌ったりして大きな盛り上がりがそこに生まれた。
例えばこの日彼女がカヴァーしたMISIAやJUJUがライブでゴスペルを歌ったならばそれは“R&Bシンガーの歌うゴスペル的なもの”になるのだろうが、TiAの現在の歌唱スタイルはベースがR&Bではなくゴスペルのほうにある。黒人っぽさのあるなしはまた別の話だが、コール&レスポンスをしながらときに声をはりあげて全身全霊で歌うあたりはまさにゴスペルのそれで、大いに本場感あり。ふとアメリカのどっかで観てる感覚になったりもした。すごいな、こういう種類の盛り上がりを生み出せるシンガーはそういえばそんなにいないよな、とも思ったり。だってゴスペルのあの感じを普通のライブ会場に入れ込むのって日本じゃやっぱりなかなか難しいはずですからね。ああいうのって観客が冷めて観てたらそれまでなわけだから。でもそこにいる観客たちはみんな盛り上がっていて、しっかり一体感が生まれ、既にちゃんとファンダムが形成されているという印象も受けた。6月には山手教会でさらに大人数のクワイアを迎えてのワンマンライブが行なわれるのだとか。うん、とってもいい広がり方だと思います。
それにしても15年前にこんな未来が待ってるなんて僕はイメージできなかったし、彼女自身も想像してなかっただろうな。
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