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「吉田拓郎のオールナイトニッポン GOLD」最終回を聴いて。

「吉田拓郎のオールナイトニッポン GOLD」の最終回(2022年12月16日放送)をナマで聴いた。最後のラジオ。最後のメディア出演。これをもって拓郎は音楽生活引退となる。

最後だからといって特別な企画があるわけじゃなく通常運転。とはいえ、2時間でこれまで歩いてきた道の重要な場面・思い出などを一気に語り、響く言葉がいくつもあった。感傷的になどならず、変わらない言葉数で、時に大笑いしながら生き生きと楽しそうに話していた。

若い頃に「セイ!ヤング」など拓郎のラジオはずいぶん聴いたが、やはり最後までラジオの人だったんだなと改めて思ったし、ご自身も「ラジオに育てられて、ラジオと共に青春した」と話されていた。

6月に『LOVE LOVE あいしてる』の最終回スペシャルを見て、(多くの人がよかったとツイートしてたけど)自分は酷い作りだなと制作側に対する怒りすらおぼえていたのだが、昨日のラジオは拓郎の思いがわかってとてもよかった。テレビじゃダメだ、やっぱりラジオなのだ。

俺の原点は「イメージの詩」じゃなくて「マークⅡ」」なんだと拓郎は言っていた。そういう意識があるからライブで「マークⅡ」を歌うことはあっても「イメージの詩」を歌うことはほとんどなかったと。

作曲家としていろいろ曲提供ができたのはよかったというようなことを話し、とりわけ自信のある曲として挙げたのは、キャンディーズに提供した「優しい悪魔」ともう1曲、かまやつひろしに提供した「水無し川」だと言って、「水無し川」をかけた。意外なような気もするし、すごく納得できるところもある。僕はどちらも大好き。

歌謡曲は好きだけど、演歌の人のコブシ回しはどうしても苦手。森進一の「襟裳岬」(拓郎提供曲)の、♪えりぃ~ものぉうぉ~ みたいな歌い方に対して気持ち悪いからやめてくれと思っていたとも言っていた。

ボデ・ディランが好きで多大に影響受けたけど、ブルーズの解釈の仕方とライブに関してはやっぱりストーンズなんだと言っていた。

最近何かと使われる「共感」という2文字が嫌だと言っていた。共感(させること)にばかり重きを置いたモノの作りや姿勢、そういう時代に対し、拓郎はノーを唱え、人はひとりでいい、自分は自分の道を行けばいいということを強調していた。そういう拓郎が自分は好きだった(それこそ「共感」しつつ、自分は自分の道を行くのだと強く思ったものだ)。

「僕は僕なりに道をまた進んでいくしかない。明日からまた新しい道が始まるんじゃないかな」とエンディングで言っていた。「まにあうかもしれない」で歌っていることとほぼ一緒だ。僕なりの新しい道を行くための、潔い引退。やっぱり拓郎はかっこいい。

拓郎さんが教えてくれたこと、本当にたくさんある。「ありがとうございました」と心のなかでつぶやいた。

引退されても歌は残る。僕はこれからもきっと、ときどき思い出したように拓郎のうたを聴くのでしょう。
↓プレイリスト「吉田拓郎の唄」(50曲)



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