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Night Tempo@リキッドルーム

2022年8月15日(月)

恵比寿リキッドルームで、Night Tempo『ザ・昭和グルーヴ・ツアー2022』。

今年1月に行なわれるはずだったが、コロナ禍でずっと延期になっていたナイトテンポの「ザ・昭和グルーヴ・ツアー」。ようやく開催され、ずいぶん前(もう1年近く前だった気がする)にチケットを取って、払い戻しもしてなかったので、行ってきた。

ナイトテンポを初めて観たのは2019年のフジロック。以前から知っていたわけじゃなく、たまたま観たら最高に楽しかった。それで好きになって2019年11月には京都のメトロまで観に行き、2020年2月には東京ドーム ローラースケートアリーナで観た。どちらもめちゃめちゃ楽しかった。あの頃、僕(と妻)はかなり彼を「買っていた」のだ。

それから時間が流れ、今年7月、久々に観たのはフジロックだった。「ザ・昭和グルーヴ」のDJセットもあったが、そっちは観ずに、「Night Tempo Ladies in The City Live Set」のほうだけ観た。それはゲストを迎えて自身のオリジナルをかける初ライブで、ゲストにはアイドルの矢川葵、それから久々に活動を再開させたBONNIE PINK、そして野宮真貴。ボニーと野宮さんが観れたのはよかったが、しかし進行の仕方がずいぶんスローで、オリジナル曲だけで楽しませるのはまだ早いのではないかと正直思った。何か工夫と洗練が必要ではないか、と。

そして昨日。昭和グルーヴのDJセットを観るのは2年半ぶりだった。

コロナ禍でなかなか来日できずにいたこの2年数ヵ月の間に、彼はDJとしていかに進化しているか。そこが注目ポイントであったわけだが。内容は基本的に2年半前と変わっていなかった。かける曲、キメの曲がほぼ一緒。ほんの数曲、以前はかけていなかった曲もあるにはあったが、大半が前にもかけていたお馴染みの曲……マッチ、明菜、聖子、秀樹、ウインク、BaBe、和田アキ子、細川たかし、吉幾三、渡辺美里、オメガトライヴ、八神純子、杏里、竹内まりや、松原みきらの有名曲だ。2年半前なら面白がれたが、シティポップがバカみたいにブームになったり昭和歌謡が再評価されたりしてこすられ尽くした今となっては、それらがかかっただけで単純に盛り上がることはできない。新鮮味がない。そのいくつかはここぞというところでかけるのもいいが、それより「おおっ、こんなものも掘り起こしたのか」という曲を多く使って、新しい波を感じさせてほしかった。しかし、そういう意外な曲、「おおっ!」となるような曲はなく、この2年半くらいの間、新しく掘ることをしていなかったのかなと思わざるをえなかった。また、上記のような曲を次々に繰り出すのはいいが、ただ単によく知られている曲を並べているだけで、そこに緩急がない。物語性もない。繋ぐことの意味性もない。2年半前はそこはさほど気にならなかったのだが、わりと冷静に観ていた昨夜はそのことがやけに気になってしまった。

さらにがっかりしたのが、背景の映像のしょぼさだ。以前は昭和の少女ものアニメ~イラストを多様し、その動きを昭和歌謡とうまく合わせて独特のレトロ空間を作っていたものだが、版権の問題か何かがあるのか、それとも単にVJが変わっただけなのかわからないけど、そのトレードマーク的なイラスト使いは一切なし。なんだかずいぶん安い(予算のかかってない)映像が繰り返され、映像と音の融合による立体的なグルーヴみたいなものが完全に失せていた。

よって、驚きも新鮮味もなし。あまりにも予想通りの進み方で、胸が躍ることがなかった。(唯一よかったのは、BaBeの絶頂期の映像が流れたところ。あれだけでもムードは変わるのだから、そういう何かをもっと用意すべきだ)。

日本語はずいぶん上手くなっていたが、はっきり言ってDJとしての進化は見られなかった。注目されてからもう2年半~3年の時間が経っているのだから、何かしらの変化・進化を期待したのだが……。今後も彼がこの「ザ・昭和グルーヴ」を続けるのであれば、緩急つけた繋ぎ、構成、ビジュアル含む何らかの演出を考えられるプロデューサー的なスタッフをつけるべきかもしれない。

⁡振り返れば、「ガラスの10代」でDJ TAROら数人がローラスケート滑ったりしていた2年半前の東京ドーム ローラースケートアリーナは楽しかったなぁ……と、ちょっと遠い目。応援したい気持ちは今もあるんだけどな。


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