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Rei@EXシアター

2021年2月14日(日)

六本木・EXシアターで、Rei。

Reiにとって、約1年ぶりの有観客ライブ。自分が観るのは2000年1月に浅草・雷5656会館で行なわれたアコースティックライブ(アコースティック・ツアー“Mahogany Girl”)以来、1年1ヵ月ぶりだ。

Reiのライブはデビュー前から観続けているが、これまでで最高のパフォーマンスだと感じたのが2019年3月のリキッドルーム公演(Rei of Lightツアーのファイナル)。そこでReiはライブパフォーマーとしての大きな飛躍を見せたものだったが、結論から書くと、今回はあれをも上回るものだった。

何せ1年ぶりのライブだ。溜まっていたものは、相当あったはず。しかも東名阪でやる予定だったこの「SOUNDS of HONEY」ツアーだが、再びの緊急事態宣言発出を受けて名古屋と大阪公演が中止になり、東京の一夜だけに。構成を練りに練ってしっかりリハを重ねて臨んだことがよくわかる内容だっただけに、1公演だけとはどう考えても勿体ないが、それだけにReiはこの一夜で持っている全てを出し尽くし、完全燃焼しようと心に決めていたのだろう。実際、出し惜しみも勿体ぶりも少しもなく、この1年間の鬱憤や思いを力強く、かつ伸び伸びと解放していた。

バンドはRei含めて4人で、メンバーは中西道彦(B / Yasei Collective)、山口美代子(Dr / BimBamBoom)、渡辺シュンスケ(Key / Schroeder-Headz)。ベースが「Rei of Light」ツアーの真船勝博から代わったが、実に強力なアンサンブルで、相当の準備(リハ)を重ねたことがわかった。名古屋・大阪を経ての東京公演だったら、一体どれほどすごいものに仕上がったことか。

珍しくセイント・ヴィンセントをイメージさせるようなミニの衣装からもこのライブにかける気合いのようなものが窺えたが、セットリスト的にものっけからぶっとばしモード。「B.U.」「COLORS」と『HONEY』の1・2曲目を続けたあと、早くも普段のライブなら終盤にもってくることの多い「JUMP」「MOSHI MOSHI」「COCOA」を立て続けに。「もうやっちゃう?!」と思ったが、出し惜しみをしないのは、この段階でこれらをやってもまだまだ盛り上がり曲はありまっせといった余裕のようなものがあったからだろう。

実際のところ、ライブ中盤では「Categorizing Me」「Broken Compass」「Stella」と思いを込めてスロー曲をやり、そのあとソイルのタフゾンビ(Tp)と栗原健(Sax)をゲストに迎えて2曲をセッション。そして本編終盤の「New Days」「What Do You Want?」とアンコール1曲目の「BLACK BANANA」で凄まじいまでの爆発力を見せた。「New Days」では2階バルコニーに移動してフライングVでたっぷりとギターソロを。かつてヴィンテージトラブルのタイ・テイラーがこの会場でやったときにバルコニーに移動して歌って客を煽ったものだったが、それを思い出した。それになんといっても再びタフゾンビと栗原を迎えて、それぞれのソロ回しも含む長尺セッションとなった「BLACK BANANA」の熱度とうねりが本当にロック的で凄かった。感染対策でなかなか叫んだりはできないが、客はみんな心のなかでの熱狂を感じていたに違いない。少なくとも自分はうっひょ~っと盛り上がりまくっていた。

煽り方。バンドアンサンブル。爆発力。それら全てが今までのライブの数倍アップ。何より印象的だったのは、Reiがいろんな感情(とりわけこうしてみんなの前でライブをしているということの喜びが大きかっただろう)をそのまま歌とギターと動きとMCに乗せて放っていたことだ。

スマートに、クールに。やるべきことをきっちりと。そのように、かつては理性的に「ちゃんと」ライブをやるのがReiだった。が、この夜は「ちゃんと」の殻を打ち破って、心のドアをパーンと開け放し、感情をストレートかつダイナミックに解き放っていた。解き放てるようになったのだ。理性よりも衝動。そっちを重要視した、端的に言うなら極めて「エモい」ライブ、動物的なライブを見せたのである。それが印象的だったし、だから自分は感動した。最後の言葉(これまではカタマリとしてみんなのことを見ていた。でも1人がたくさんいるんだと思うようになった……といった意味のこと)も胸に響いた。

ときにクレイジーなロックスターのようでもあったこの夜のReiは、本当に、最高にかっこよかった。

それに4曲目でRei自ら「スタンダップ!」と観客を立たせてくれたおかげで、久しぶりに立ってカラダを動かしながらライブを観ることができたのもよかったよ。やっぱライブはこうでなくちゃ。

↓17日まで配信アーカイブあり。


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