見出し画像

石田昌隆写真展「RELAXIN' WITH LOVERS~photographs~」

2023年4月24日(月)

神泉にあるギャラリー「JULY TREE」で、石田昌隆写真展「RELAXIN' WITH LOVERS~photographs~」。

残念ながら「30分前まで、石田さん、いらしたんですけど…」というタイミングに入ったのでお会いできなかったが、QRコードで読み取ることのできる写真ひとつひとつのコメント(石田さんが書かれたもの。すごい情報量!)を読みながらゆっくり見ていったら84年のブリクストンの空気感がかなりイメージできた。

若き日の石田さんの静かなる興奮(ワクワクとドキドキ。ドキドキよりもワクワク多めだっただろうと想像する)が、壁一面のいくつもの写真群から熱を伴って伝わってくる。「これを撮るんだ」という明確な意思と「こんなの撮れちゃった」という偶然とが合わさったことでこれらは今ここに残っているんだなと思ったり。

ラヴァーズ・ロックのコンピCD『RELAXIN' WITH LOVERS』(2001年~)は当時サンプルをいただいてよく聴いたし、もちろん今も持っている。絶妙な選曲に加え、石田さんの写真がドンと使われたジャケットからも音楽が聴こえてくるようだったし、確か当時自分が編集で関わってた雑誌で紹介した記憶もある。それらのCDのジャケットを当時は「いい写真だなぁ」なんて眺めてただけだったけど、それがどう撮られたか、今になって石田さんのコメントでわかるというのも面白いものだ。

1984年のブリクストン。ライブ会場だったりサウンドシステムで盛り上がってた地下のクラブだったりのまさしく「現場」を撮るだけでなく、道や食堂(的なところ)にいる人たちもたくさん撮られていて、その全てから「ラヴァーズ・ロック」の背景が感じとれるし、それもまた紛れもなく「現場」なのだとわかる。

古い建物の地下のクラブでやってたサウンドシステムの準備でスピーカーが運び込まれるところを撮った写真がすごいよくて、そのコメントを読んだら「こういうシーンを撮影することも重要だと意識していたから」とあり、それってやっぱりフォトジャーナリストとしての視点だよなぁと。

ソニーがジャネット・ケイを当てたり、ジムコがラヴァーズ関係のCDをたくさん出したりしてた頃、自分もジャネット・ケイ、キャロル・トンプソン、マッド・プロフェッサー、コフィらの取材をしたことがあったけど、何を訊いたか覚えてないし、ラヴァーズ・ロックの背景についてそれほど深く掘り下げることもしてなかった気がする。何を知りたいのかが多分自分のなかでそこまで明確じゃなく、それが明確にあって鮮やかに反映されている石田さんの写真を見ると、今さらながらちょっと反省したくなったりも。

1980年のフランコ・ロッソ監督映画『バビロン』が去年公開されて観に行ったり、スティーヴ・マックイーン監督の『スモール・アックス』第2話「ラヴァーズ・ロック」(これ、素晴らしいです!)をスターチャンネルで見たりして、ラヴァーズ・ロックのことを考えなおすことが去年から時々あったわけだけど、そんなタイミングでこの写真展に行けてよかったです。トートも買っちゃった。

写真展は今日(4/25)まで。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?