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『ゴジラVSコング』

2021年7月2日(金)

TOHOシネマズ新宿で、『ゴジラvsコング』。

『キングコング: 髑髏島の巨神』の最後の場面を観てからずっと楽しみにしていたので、公開初日に大雨のなか観に行った。ところが自分的にはまるでノレなかった。全てが大味。対決に至る理由など一切描かれず、話の展開もことごとく意味不明というか、バトル以外の全てが「とってつけ」で成り立っている。ゴジラに対する制作者の敬意もまったく感じられず。わけても「とってつけ」感の際立つのが人間描写で、出てくる誰にも感情移入できない(そもそも必要ないキャラ、多すぎ)。ものすご~く雑。小栗旬なんて、あれ、出て得すること一つでもあった? と聞きたくなるくらいの扱い方。監督はただ単に有名な怪獣同士のバトルをプロレスのように撮りたかっただけなんだな。ってことがハッキリわかるくらいに、話の中身がない。『髑髏島の巨神』がよかっただけに、僕は心底がっかりしたのだった。

ところがですよ。SNSで、観た人たちの感想を読んでみると、「否」よりも「賛」のほうが多いのですよ。ええっ、まじでえ? って感じなんだけど、多くの人は「バトルが最高」「怪獣映画はこれでいい」と満足しているようなんですね。で、なんかモヤっとした気分で家に帰って、夜遅くに朝日の夕刊読んでたら、柳下毅一郎さんの映画評があって。ちょっと抜粋すると(無断ですみません)、こんなふうに書かれてました。

「一枚看板の大スターが2人いれば、どっちが強いの?と子供は考えるものだ。それが怪獣なら、公園の砂場でソフトビニールの人形同士を戦わせるものである。これは、そんな砂場感覚満載の映画だ」(中略) 「子供だまし? もとより怪獣映画は子供のためのものだ。砂場で遊ぶ小学生になった気持ちで、存分に楽しんでいただきたい」

僕は幼い頃、ソフビを段ボール箱がいっぱいになるくらい集めていて、まさにゴジラと別の怪獣を砂場で戦わせていた小学生だった。ひとりでいくらでもそうやって遊んでいられた。あの頃のあの楽しさや想像力を忘れてしまった、僕はつまらない大人になったってことなんだろうか。みんなは今もそれに興奮できてるようなのに、自分はもう……?  うーん。モヤる。

でもなー、それにしたって、もうちょっとこうバトル以外の場面をどうにかすることはできたんじゃないかと思うんだがなー。バトルの迫力があればあとはどうでもいい、とはやっぱりスパッとわりきれない僕なのでした。

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