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Char×カルメン・マキ&OZ

2022年9月25日(日)

昭和女子大学人見記念講堂で、Char×カルメン・マキ&OZ。

今年はスモーキー・メディスンの結成から49年、カルメン・マキ&OZの結成から50年になる年だそうだ。それを記念してのものなのかどうかは知らないが、50代・60代のロック好きには、これはたまらない組み合わせだったはず。Charがロックの入口であり、マキオズを高校の頃によく聴いていた自分も「これは!」と思ってすぐにチケットを買ったのだった。

先攻はChar。バンドメンバーは古田たかし(Ds)、小島良喜(Kb)、澤田浩史(B)。近年、CharのバンドのドラムはZAX(The BONEZ/Pay money To my Pain)で固定されており、古田たかしの登板はけっこう久しぶりのはず。なぜまた古田たかしなのかといえば、OZの初代ドラマーが古田で、この日はアンコールでOZのステージへの参加もあったから。

だが、久しぶりのCharバンドの登板とあってか、いつもに比べるとやや演奏の歯車の合わなさを感じてしまった。極上のアンサンブルと言えるものではなく、入りが不安定に聴こえた曲もあった。またCharのヴォーカルも何度か高いところが少しきつそうに聞こえた。自分がすっかりZAXのドラムありきのアンサンブルに耳が慣れていたためというのもあるかもしれないが、「あれ?」というような感じがあったのは確かだ。

セトリ的には、2曲目で早くも「Shinin' You Shinin' Day」がきて、以下、順番は忘れたが「かげろう」「空模様のかげんが悪くなる前に」「All Around Me」「TOKYO NIGHT」「Smoky」などなどよく知られた代表曲ばかり(初期曲多め)。そんななかで「Future Child」が聴けたのは個人的に嬉しかった。

30分の休憩を挿んで、後攻はカルメン・マキ&OZ。メンバーはカルメン・マキ(Vo.)、春日hachi博文(G)、川上シゲ(B)、武田"チャッピー"治(Ds)、厚見玲衣(Kb)。この布陣のOZを観るのは初めてで、そもそもカルメン・マキのライブを観ること自体が数十年ぶりだった。

マキオズは凄かった。まず出音が凄い。1階の後ろのほうの席でも相当の大音量、大迫力で、OZのハードロックが響いてきた。これぞハードロック(ヘヴィメタルではない、正真正銘のハードロック)だ。メンバーひとりひとりの演奏力が凄まじい上、アンサンブルも相当のもの。とりわけこの中では最年少となる厚見玲衣の鍵盤が効いていて、それによるグルーヴがあった。(因みに厚見玲衣がいて春日hachiがいるということは、後期RCサクセションでもあるわけだ)。

マキさんの声量の豊かさにも驚かされた。少しも衰えていない。声の迫力なしでは成り立たないマキオズの楽曲を、フェイクなしに正面から歌えている。しかも余裕すらある。深みがある。71になる女性ヴォーカリストで、あれは凄い。破格だ。「私は風」が圧巻だった。

後半、「午前1時のスケッチ」の途中、マキさんは「君が代」の一節を挿み込み、「え?」とこちらが戸惑っていると、続けて「国葬 反対」と何度も繰り返し叫ぶように歌い込んだ。こうした姿勢も変わってない。かっこいい。

あの頃の、ではなく、2022年のカルメン・マキ&OZがそこにいた。

アンコールでは、マキオズにCharと古田たかしが加わった。つまりチャッピーさんとしーたかさんのツインドラム。Charとhachiはギターで掛け合い、笑い合っている。そんなふうにして演奏されたのはジェファーソン・エアプレインの「Somebody To Love」だった。

Charとマキさんがこの曲をやったのを、昔、観たことがある。1980年4月12日、日比谷野音。ズバリ「ROCK CONCERT」と題されたライブで、出演はジョニー吉長、ルイズルイス加部、Char、金子マリ、カルメン・マキ。伝説の「一夜限りの5人バンド」だ。

あれから42年半が経ち、ジョニーと加部さんはもういない。が、Charとマキさんは今も若々しく、バリバリ現役だ。そのことが嬉しい。音も古びてない。終盤、Charが言った。「今もラディカルなシンガー、カルメン・マキ!」。その精神、意志が、ロック音楽を太く、豊かにするのだと理解した。


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