『運び屋』

2019年3月23日(土)

新宿ピカデリーで、『運び屋』。

現在88歳のクリント・イーストウッドによる、10年ぶりの監督兼主演作品。今年観た映画のなかでダントツ一番面白かった。

実話の映画化。装飾も作為も削ぎ落していながら、緩むシーンなどまったくなし。同じ題材をほかの誰が撮ってもこうはならなかっただろう。バイオレンスをいくらでも入れることができるのにそれをしない。時系列を変えて描いたりもしない。役者が大袈裟に驚いた顔をしたりしない。昨今のどったんばったんしたスピード感の映画とは真逆で、だからか「眠かった」などとしょうもない感想ツイートをしてる若者もいるようだが、70年代ニューシネマを観て青春を過ごしてきた世代なら、これこそが映画の面白さだと言いたくなるはず。いやもう、イーストウッド監督の卓越したスキルと品格に惚れ惚れしますぜ。

アルトゥール・サンドヴァルの音楽のハマリ具合もよかったし、何よりトビー・キースの歌う主題歌「Don’t let the old man in」が心に沁み渡った。傑作の多いイーストウッド作品のなかでも、僕はこれ、相当好きです。


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