『イエスタデイ』

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2019年10月19日(土)

TOHOシネマズ渋谷で、『イエスタデイ』。

”あるはずのものがないことになっている世界”というSF的設定と、売れないシンガー・ソングライターとビートルズという音楽に寄った題材。しかも監督がダニー・ボイルとくれば面白くないはずがない! そう思って観に行ったんだが。退屈はしなかったものの、ちょい肩透かし感ありでした。

脚本は『ノッティングヒルの恋人』『ブリジットジョーンズの日記』『ラブアクチュアリー』『アバウト・タイム』などのリチャード・カーティスで、つまり彼の得意とするラブコメディー。それはそれでいいんだけど、この格好の設定と題材をもう少し上手く活かすことはできなかったものか。

例えば「ビートルズはないけど、〇〇〇〇〇はある。でも〇〇〇〇はない」というアイデアなどはすごく面白いと思うんだが、そこは広げもせず摘み取ることもせず、そのまんまだし。主役の男女は自分勝手であまり感情移入できないし(リリー・ジェームズ、めっちゃかわいいんだけど、おいおい、このタイミングでそんな電話すんなや! ってなる)。ビートルズの魅力が単に「ものすごくいい曲を書くひとたち」っていう捉え方はファンのひとたちにとってどうなのかなとも思ったし。後半のあのひとのお話とか、それ必要? って感じだし。もっとビートルズ楽曲の歌詞に寄せた描き方をしたほうが効果的だったんじゃないかも思うし(「ヘルプ!」のあの場面だけは唯一よかったけど)。

意外と笑える小ネタがあったりとか、いいところはいいんですけどね。でも、ラブコメとして見てもリチャード・カーティスの過去作に比べると男女の感情の機微の描き方が雑なんじゃないかという気がするし、昔のダニー・ボイル作品にあったマジックがどっかで効くかといえば、そうでもないし。うーん、こう言っちゃなんだが、この設定と題材をほかの脚本家の筋で観てみたかったと思ったりはしてしまうなぁ。

あ、マイケル・キワヌーカが何気に本人役で出てましたね。あと、エドくん、ナイスでした。





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