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T字路s、ピーズ@東京キネマ倶楽部

2023年5月26日(金)

鶯谷・東京キネマ倶楽部で、T字路s「まむしの2マンツアー」。

T字路sが行なった2マンツアー。お相手は、名古屋がキセル、大阪がeastern youth、そして東京のこの夜はピーズだ。

先攻、ピーズ。出番直前にわりと大きめの地震があって会場がグラグラ。そんななかで、メンバーが登場。はるは普通に横から出てきたが、アビさんたちは上のステージから現れて階段を下りてメインステージへ。「揺れたね」と、はる。

メンバーの並びがこの日はちょっと変わっていて、ステージ向かって左が、はる。真ん中にアビさん。右がみったん。はるとアビさんの後ろあたりが茂木左という形。はるではなく、アビさんが真ん中にいて、歌っているのはもちろんはるなんだが、ギターを弾くアビさんがバンドの柱になっているという印象を与えるかっこうだった。

実際、アビさんのロックンロール然としたギターにしびれる瞬間が何度もあった。何度もアビさんは前のほうに出て弾いていて、客たちの熱い波動と拍手を浴びていた。「デブ・ジャージ」が特に効いていた。

「生きのばし」とか「実験4号」といった代表曲もさらりと、けれどやはり圧倒的な強度を持って鳴らされた。鳴らされた、というか、ロックンロールとしてぶっ放された。

「ここ(キネマ倶楽部)はやっぱりいいなぁ」と、はるが言っていた。今回が3度目のキネマ倶楽部だったそうだが、立てて嬉しい、T字路sと友達になってよかった、みたいなことも言っていた。確かにピーズにぴったりくる箱だと思った。アンサンブルが本当に最高で、進むに連れてその最高度合いが増していった。熱度を高めていった。なんて最高な、なんてかっこいいロックンロールバンドなんだろう。なんか、とっても清々しかった。

休憩挟んで、後攻、T字路s。サポートメンバーなし。妙子さんと篠田さんのふたりのライブ。

ピーズは妙子さんがずいぶん前に好きになって聴いていたバンド。それまで好きになったバンドとは違うかっこよさ(かっこつけないかっこよさ、みたいなことだと話していた)があって衝撃を受けたそう。憧れでもあったので、こうして2マンが叶うなんて「夢のよう」だと何度か言っていた。そういう思いが、この日のライブの歌と演奏の熱に結びついていることがよくわかった。

そんなピーズの「そばにいたい」やRCサクセションの「スローバラード」といったカヴァー(どちらもカヴァー作品『COVER JUNGLE』に収録)も演奏したが、個人的にはその2曲以上に胸に響いた曲があって、それは何かというとストリート・スライダーズの「かえりみちのBlue」だ。これは最近出たスライダーズのデビュー40周年トリビュートアルバム『On The Street Again -Tribute & Origin-』でT字路sが選んだ曲。スライダーズはもともと篠田さんが好きだったバンドで、以前に「野良犬にさえなれない」をカヴァーしてライブでも度々やっていたが、それに続いてスライダーズのデビュー40周年トリビュートアルバムでは「かえりみちのBlue」を選曲。妙子さんが「そうそうたる顔ぶれが並ぶなか、私たちのようなものが」と謙遜していたが、僕はそのアルバムのなかで一番いいカヴァーがT字路sによる「かえりみちのBlue」だと思っていて、なぜかというと知らない人が聴いたら普通にT字路sのオリジナル曲だと思うでしょう、ってくらいに自分たちのものとして消化しきっていたからだった。で、初めてナマで聴いたそれがやはりものすごく胸に沁みまくった。

オリジナル曲では、NHKラジオ「夜の深夜便」のために書き下ろされた「夜も朝も午後も」がとてもよかった。

そして名曲「泪橋」で聴く者みんなに力を与え、アンコールではカンザスシティバンド「新しい町」も。キネマ倶楽部はクラブクアトロと並んでT字路sの東京におけるひとつのホームのような場所になっているが、この夜もやはりよく映え、改めてキネマ倶楽部で観るT字路sはいいなと強く思ったのだった。

できれば2バンドのセッションも観てみたかったが、まあ贅沢は言うまい。と言いつつ、でもいつか実現したらいいなと思ったりも。



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