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COSA NOSTRA REUNION@ビルボードライブ東京

2020年10月8日(木)

ビルボードライブ東京で、COSA NOSTRA REUNION(1stショー)。

コーザ・ノストラがトイズファクトリーに移籍し、吉岡忍さんに代わって小田玲子さんが加入、男性メンバーも定着してグループとしての本格的な活動を始めたのは1994年のこと。そこから1998年まで鈴木桃子さん、小田玲子さん、太田要さん、佐々木潤さん、長田定男さん、桜井鉄太郎さんの6人で活動した。その後もコーザはメンバー脱退に応じて体制を何度か変えながら活動を続けたが、自分を含め多くのひとがコーザ・ノストラと聞いて思い浮かべるのはやはりこの6人で活動していた1994~98年のトイズ~ベリッシマ時代だろう。自分がオフィシャルライターとしてメンバーに話を聞き、文を書かせてもらっていたのも確か95~97年。アルバムでいうと『Love The Music』『World Peace』『SEVEN』『Trip Magic』あたりだった。

しかし、この時期のメンバー全員が揃ってステージに上がったライブを、僕は観た記憶がない。そう、6人が揃ったライブを観たのは、昨日が初めてだったのだ。そしてもしかすると、そんな機会はもう二度と訪れないのかもしれない(わからないけど)。そう考えると、とても貴重な「一夜限りのリユニオン」ライブだった。

桃子さんと玲子さん、ふたりのシンガーを大フィーチャーし(ライブのタイトルは「COSA NOSTRA REUNION~Sunshine Moonlight~」というもので、言うまでもなくSunshineは桃子さん、Moonlightは玲子さんを指す)、演奏はベースのKANAMEさんを中心に、河野伸さん(鍵盤)、 高田真さん(ドラム)、石成正人さん(ギター)、坂井”Lambsy”秀彰さん(パーカッション)と腕利きミュージシャンたちが揃ってサポート。潤さん・長田さん・鉄太郎さんは順にゲストとして登場するスタイルだった。また中盤ではコーザとわりと近い時期にメジャーでの活動を始めたシアターブルックの佐藤タイジ(コーザは94年で、シアターは95年)もゲストで加わり、熱くライブを盛り上げた。

明るくて柔らかで伸びやかな桃子さんのヴォーカルが真ん中にあり、進行MCもほぼ桃子さん。昨年の桃子さんのベスト盤も半数はコーザ時代の曲で、彼女のコーザに対する思い入れと愛がよくわかり、それがあったからこそ実現したリユニオンライブであることが伝わってきた。が、それが際立つのは玲子さんのクールなヴォーカルと華のあるダンスがあってこそ。まさしくサンシャインとムーンライトで、ふたりのヴォーカルの重なりのマジックが大いに働いていたし、単純にふたりが並んで歌っている様がとにかく絵になる。

しかも今回のハイライトだったと言ってもいいくらい自分的に鮮烈な印象を残したのは『SEVEN』の最後に収録されていたバラードの「Angel Dust」で、プリンス「パープル・レイン」のように泣き響くタイジのギターも凄かったが、なんたって玲子さんの思いのこもったヴォーカルにかなりグッときたのだった。

また、タイジは桃子さんとのデュオでシアターの代表曲「ありったけの愛」を歌ったりも。さすがに声がでかくて響きがハンパない。タイジがステージを降りたとき「なんだか急に涼しくなったみたい」と思わず言った桃子さんがおかしかった(笑)。わかるー。

派手な衣装で動いてDJする華ある潤さん、安定の長田さん、演奏のまさに要であるKANAMEさん。男性(元)メンバーたちもそれぞれ見せ場を作っていたが、最後の最後に呼ばれてステージに上がったコーザ創始者の桜井鉄太郎さんがハープを吹奏したのはとりわけ印象的だった。あまり人前に出ないひとという印象があったが(僕がオフィシャルライターを務めていた頃も鉄太郎さんだけは”影の親分”的なスタンスだった故に取材できなかった)、プレイヤーとしての鉄太郎さんをああしてコーザのライブで観ることができたのはラッキーにも思えたことだった。

アンコールの「Jolie」のあと、最後は出演者全員が横に並んで手も繫いで深くお辞儀。コロナで延期にはなったものの、遂に実現したこの「一夜限りのリユニオン」が、メンバーたち、当時から関わっていたスタッフたち、コーザの歌を愛し続けてこの日を待ち望んでいたお客さんたちにとって忘れられないものになったであろうことは間違いない。


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