クレイグ・デイヴィッド@渋谷O-EAST

2019年2月18日(月)

渋谷のO-EASTで、クレイグ・デイヴィッド。

実に8年ぶりとなる来日公演は、バンドなしのひとりDJセット。つまり、クレイグがDJして音を出し、それに合わせて自分で動いて歌うというもの。曲を繋げたり途中でとめたりといった判断は当然彼自身がその場その場でするわけだが、繋ぎ方から何からそれはもう見事なもの。そりゃそうだ。もともと彼はDJで、売れてからもあいてる時間はクラブでDJを楽しんでいたのだから。ということを今更ながら思い出した、抜群の腕前だった。

その上、歌が上手くて、声が甘くて、超絶早口回し(ラップではなく、高速フロウ)のスキルがとてつもなくて。そういった意味で、過去の公演以上にひとりだけの今回の公演は彼の実力を見せつける形になったと言える。

初作の「Fill Me In」や「7days」、2作目の「What's Your Flava?」や「Rise&Fall」、復活作からの「16」や最新作からの「Magic」「Heatline」、それに90年代R&Bなどのカヴァーメドレーまでを混ぜつつ、ほぼノンストップの約90分。ワーナー期の楽曲をまったくやらなかったのは、彼が初期の2ステップ~ガラージ時代と復活以降こそを自分らしいスタイルと捉えているからなのだろうか。ワーナー期もいい曲・ヒット曲が少なくないので(「All The Way」なんてしょっちゅうJ-WAVEでかかってましたもんね)、そのへんもまあ聴きたかった気もしないでもないが、でも物足りなさはまるでなし。そのあたりを数えなくとも「ヒット曲がこんなにたくさんあるんだよなぁ」と改めて実感した。

彼の人気に火が着き始めた頃から何度かロンドンまで取材しに行って、彼はめちゃめちゃいいやつで仲良くもなれて、2ndや3rdのライナーも書いて……なんて感じで自分にとってはかなり思い入れの強いアーティストであるだけに、今回、時間は流れても現役感バリバリの最高のライブを見せてくれたことが僕には涙が出るほど嬉しかった。楽屋に飛び込んでハグしたかったくらいだ。

何せ8年ぶりの日本公演なので、あんまり埋まってなかったりする可能性もあるかなと少し心配したが、フタをあけたら会場は満杯。で、クレイグの熱演に対する観客たちの反応も非常によく、やむことのない歓声に彼も思わずといった感じで「アメイジング…」とつぶやいたほど。終始笑顔の彼は本当に日本のファンたちの熱い反応が嬉しいようで、それによって尚更パフォーマンスに熱が入っていくという理想的な相乗効果。本当にいいライブだったし、繰り返すが僕はとても嬉しかった。

オーラも出てたし、やはり彼は才能高きスターである。そう間をあけず、ぜひまた来てほしいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?