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『MOTHER/マザー』

2020年7月8日(水)

TOHOシネマズ新宿で、『MOTHER/マザー』。

ライブはまだ行けてないが、映画はちょいちょい観に行っている。現在は劇場側が密を避けるべく両隣と前後の席をあける対策をとっていて、そうなると隣席に荷物を置けるし、前に座高の高い人が座って観づらくなることもないし、ゆったり観れるのでなかなかいい。用事の帰りに飛び込みで行っても満席なんてことはまずなくて大抵いい席で観ることができるし。

先週水曜日はTOHOシネマズ新宿で『MOTHER/マザー』。親子の共依存を描いた作品。5つ星で評価するなら星2つといったところかな。

「長澤まさみが毒親を体当たりで熱演!」「初の汚れ役!」みたいな感じで宣伝されてるが、さほど驚くほどの演技ではない。セックスのシーンでも下着にすらならないし、極貧生活を送っているはずの場面でも服も髪も汚れてないし、役に憑依してる感じがまるでなく、ああ、長澤まさみがこういう演技してるんだなぁー、あるいは事務所はこの程度はやらせるけどそれ以上はやっぱやらせないんだなーといった事情的なものがずっと見えてしまって没入できない。阿部サダヲの演技もまたいかにもといった感じの過剰さで、どう観ても阿部サダヲ。なので、実話を元にしているというのにリアリティがない。有名俳優を引っ張ってきて作ることの難しさがこういう作品になるとやはり如実に出るもんだなぁと。

また監督がこの実話を映画にして観る者に何を伝えんとしているのかも最後まで見えてこなかった。むしろそこから逃げてる印象だ。何も突き詰めてないし、こういう凄惨な事件を扱うことの責任のようなものも感じられない。
あと、実は妹の存在がキーになるのに妹の表情を印象的に撮れてないのもダメなところだろう。幼い子供のいい表情をちゃんと印象的に撮れる監督は世界にはたくさんいるのだが。

強いていえば、秋子(長澤)の息子役の奥平大兼という新人の表情はまあまあよかった(極貧なのに髪にメッシュ入ってるのとかは嘘っぽくて気になったけど、それは彼のせいじゃない)。あとは夏帆がここでも普通によかったですね、好きな女優故の贔屓も入ってるけど。

とにかく映像的にも役者の表情的にも深く印象に残る場面がまったくといいほどなく。この題材を例えば韓国の監督とかが撮ったらさぞかし凄いものになっただろうな…などと想像してしまったりもしたくらい。残念。


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