ヴィンテージ・トラブル@ビルボードライブ東京

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2020年1月21日(火)

今年初となるビルボードライブ東京。1発目は“オレたちのバンド”…ヴィンテージ・トラブルだ。彼らがビルボードライブのステージにあがるのは2年9ヵ月ぶり。2ndステージを観た。

(*以下、演奏曲のネタバレ記述も含むので、今夜観に行かれる方はご注意を)

この2~3年サポートで加わっていた鍵盤のブライアンは、今回はいなかった。その代わり、コーラスで女性歌手が加わっていた。女性がステージにいるVT。新鮮だが違和感のない絵面であった。

タイのパフォーマンスにはいい意味での余裕があった。以前のようにのっけから全開バリバリで気迫に満ちててガツガツと攻めこんでくる、そういうものではない。野外のフェスや大きめのハコだと観ていて火傷しそうなくらいの熱さがあったりヒリヒリする感覚があったりもするが、今回はその感じとはちょっと違う。100%ではなく70%くらいの力の出し具合だ。が、それがよくないということじゃない。120%くらいでこられるときのあのやばい感じを知った上で書くが、そこまでガツガツいかないで力の出し具合をコントロールしながら余裕をもって歌っているタイもかっこよくて魅力的なのだ。

例えばお馴染みの曲の歌い回しにちょっとした遊びが見えたりもする。明らかに歌い方を変えてきている曲もある。それは3人の演奏も同じで、特に今回はリチャードがお馴染みの曲の叩き方に変化をつけていた。アレンジを変える…というのとも違うのだが、ほお、その部分を今回はそういうふうに叩きますか、とニヤリとさせられる場面がけっこうあった。となればリックのベースも当然それに沿うことになる。バンドとして、余裕をもちながら、いまの自分たちなりの曲解釈、いまの自分たちなりの演奏の仕方をしている。3年前、5年前の演奏の仕方や歌い方とは違う。当然だ。それでいい。大人のバンドのあり方としてかっこいい。

アレンジ…というか演奏方法を変えた曲のなかでとりわけ印象が強かったのは「Run Like The River」だ。ゆっくりとブルージーに始めながら、あるところからテンポを加速させてラウディーに展開するあたり、しびれた。ナリーはギターで絵を描くみたいに曲の景色を表わしていた。因みに大阪公演ではこの曲で客の何人かをステージにあげて座らせたりもしたらしい(大阪公演のライブレポにそう書いてあった)。

今回は『Chapter II - EP I』以降の新しい曲を多めにプレイするステージになるんじゃないか。と思っていたのだが、意外と『Chapter II - EP I』以降の曲は少なかった。もう2曲くらいはやるんじゃないかと思っていた。しかし「So Sorry」をやったのは個人的に嬉しかった。『Chapter II - EP Ⅱ』に収録されたその曲は、しかしChapter Iというか、ブルーノート期のVTのままを思わせるバラードで、沁みるのだ。

「Do Me Right」も「Crystal Clarity」も今回はやらなかったが、ダンス曲としては「Everyone Is Everyone」がChapter II を示すものとして、流れとしてではなくしっかり独立させた形でタイのメッセージ含んだMCのあとに演奏された。その場面がもっともChapter II 的だったと言えるかもしれない。

総じて、いままで通りの見せ方といままでとは違う見せ方の、その配分バランスがグッドなライブだった。さて、今夜は昨夜やらなかった曲もやってくれるかどうか。今夜も楽しみ!

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