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『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』感想。

2022年11月13日(日)

新宿TOHOシネマズで『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』。

初見を3Dにするか迷ったが、2時間41分の長さにびびってまずは2Dにて。もう一度観る時間がとれたら3Dにしてみよう。

*以下、ややネタバレ含むので、これからの方はご注意を。

大ヒットして評価も高かった前作『ブラックパンサー』は、けれども僕はそこまで熱くなれなかった。意義があったのは間違いないけど、面白さは(フェイズ3までの)ほかのマーベル作品ほどではなかったし、立派なティ・チャラにもそれほど感情移入できず。むしろあの単体作よりも、シビル・ウォーで初登場したときや、エンドゲームのときのほうがかっこよく思えたものだった。

そういう意味で今作の、喪失感と無力感と怒りを抱えたブラックパンサーのほうが僕はティ・チャラよりも感情移入できたし、映画としての面白さも勝っていた。

ワカンダ側の人たちに共通する喪失感、悲しみを、表面的にではなくかなり丁寧に(内面的に)描いていたのがよかった。簡単に乗り越えられるものではない。けれども乗り越えなくてはならない。そこをしっかり描いた映画だった。

シュリのみならず、ラモンダ、オコエ、エムバク、ナキア、それぞれの感情…喪失感や葛藤やそこで自分はどうするかという覚悟と揺れがしっかり描かれていて、それが説得力に繋がっていた。かといって内面へのフォーカスの積み重ねだけではなく、迫力のバトル/アクションシーンもふんだんにあって、テンポもいい(但し戦いのシーンのいくつかは理由が単純じゃないだけにシビル・ウォーと同じくらいの痛みを伴っているけど)。これからいろんな記事で出てきそうだけど、現代社会の問題意識、投げかけもいろいろある。

つまり、精神的な面と迫力のバトルと社会への投げかけが非常にバランスよく盛り込まれた作品。これを破綻なくここまで見事にまとめあげたライアン・クーグラー監督に拍手を送りたい。

前作を観たときに「この子の活躍をもっと観たい」なんて書いたシュリ役レティーシャ・ライトの成長はもちろんだけど、個人的には今回オコエ役のダナイ・グリラにかなり気持ちを持っていかれた。あと、比較的若い人が多いなかでラモンダを演じるアンジェラ・バセットの威厳と喪失表現が素晴らしかった。この人がいたからここまでこの作品が引き締まったとも言えますね。さすが名女優、と改めて。

あと、リアーナのあの曲にもグッときまくり。配信で聴いたときとはずいぶん印象が変わった…というか、この映画の重要なピースとしての新曲だということをリアーナが深く認識して出した曲だということがよくわかる。リアーナにしては面白くない曲だと言ってる人も少なくないけど、そんなことないし、久々の新曲をこれにした意義と価値はすごくあると僕は思ったな。


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