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マーガレット・グラスピー@ブルーノート東京

2024年6月18日(火)

青山・ブルーノート東京で、マーガレット・グラスピー(2ndショー)。

マーガレット・グラスピーがどのようなミュージシャンであるかは、柳樂光隆さんによる日本初ロングインタビューで非常によくわかるので、こちら↓を読んでいただくとして。

この記事に「現代屈指のギターアイコン」と書かれているように、まず彼女はギター弾きとしてのユニークな個性を持つ。うまいへたではなく、明らかに彼女ならではの、鋭くて、タメも効いてて、生々しさのあるギター音及び弾きっぷり。ソロを「どや!」とばかりに弾くようなことはしない。エフェクターに凝って曲毎に音をいじったりもしない。こうと決めたギター音を悠々と鳴らし、それをあくまでも歌伴として機能させる。が、その伴わせ方に個性があって彼女の音楽性を特徴づけている。彼女はベーシストとドラマーと呼吸を合わせ、決して自身のプレイに酔ったりすることなく、わりと楽しそうに弾く。ベースとドラムがはけてひとりで弾き語る曲も終盤にあり、そうなるとシンガー・ソングライターとしての佇まいになるわけだが、フォーキーな曲をやってもインディーロック的なニュアンスがどこかに残りもする。なんか独特。面白い。

そういうギター弾きとしてのユニークな才能はもちろんのこと、今回初めてライブを観て、僕はそれ以上に彼女の歌声の強さ、抑揚のつけ方、緩急のつけ方に、感心しつつ引き込まれた。ヴォーカリストとして、とても魅力的なのだ。

ときにヴェルヴェット・アンダーグラウンドっぽい音と匂いを醸し出すこともあれば、彼女が大きく影響受けているアラニス・モリセットっぽい歌唱になるときもあるし、ブルーズ味だったりちょっとばかりのグランジ味だったりがいい塩梅に出るときもある。

そして、90年代的オルタナ表現、インディーロック表現をしていても、ダークにならないのが彼女の個性。根っからの人柄のよさとか知性のようなものが滲み出るのだ。

自分が観た回では、まだ録音はしていないという新曲の披露もあり、最後はボブ・ディランの「イン・ザ・サマータイム」で締めた。そのディラン曲では観客に無理なくシンガロングを促し、年齢層高めの観客たちの声も徐々に大きくなってなんとも和やかな雰囲気になった。そのときの彼女の笑顔はあたたかだった。因みに19日の公演ではニール・ヤングの「ハーヴェストムーン」もやったらしい。

ブルーノート東京という会場でマーガレット・グラスピーを観ることできてよかった。けど、シモキタとか高円寺あたりのライブハウスやミュージックバーで観たら、さらに親密さ、ラフさ込みの生々しさが感じられて、それも絶対いいだろうな、似合うだろうなと。レザーパンツとTシャツの着こなしも自然で、人として飾らない彼女を見ながらそうも思った。


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