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『ウエスト・サイド・ストーリー』感想。

2022年2月21日(月)

吉祥寺オデヲンで『ウエスト・サイド・ストーリー』。

1961年に公開されたオリジナル映画版のほうは何十年も前にテレビで一回見たきりで、特別な思い入れがあるわけでもなく、そんなに覚えてもいなかった。なので比較はできないし、特に先入観も持たずに再映画化版を観た。

普通に良質な作品だが、想像を超えてくるほどではなかった、というのが正直なところ。移民、人種、貧富、女性軽視といったアメリカ社会の根深い問題を描き込み、今に至ってますますの感がある分断の様を浮き立たせている点には唸らされるし、スピルバーグの気概も感じる。けれども恋愛の描写が2020年代の映画としてはあまりに大味で古臭い。改変しないにしても、もう少しそこに今っぽさや繊細さがあってもよかった気がした。でもそういえばもともとスピルバーグって男女恋愛を繊細に描くひとではなかったかもと思ってヘンに納得したりも。

主人公トニーがさほど魅力的じゃないので共感し辛いってところもあったかな。キャストではトニーよりもチノ役の彼とリフ役の彼のほうが印象に残ったし、特にチノは彼の心的葛藤までちゃんと描かれていたので、そっちのほうがまだ共感できた。

全体的に青みがかった色彩の映像美はさすが(廃墟に不良少年たちが集まってくるシーンの雰囲気は、どこかウォルター・ヒル監督の『ウォリアーズ』を想起させるところ、あり)。それと何より、バーンスタインの音楽の力に改めて感服。ではあったけど、映画としてものすごく胸が踊ったかというとそうでもなく……。ただ、IMAXで観ていれば没入感も違っただろうなという後悔はあり。これこそIMAXで真価を発揮する映画だったんだろうなと。なので、これからの方はIMAXでぜひ。


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