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ヴィンテージ・トラブル@ビルボードライブ東京

2023年5月25日(木)

ビルボードライブ東京で、ヴィンテージ・トラブル。

コロナ禍期間をはさんで、3年4ヵ月ぶりとなる日本公演。1stショーと2ndショーの両方を観た。

1stショーは地階の至近距離で初めから終わりまで立ってノリまくりながら。2ndショーは一番上の階から見下ろす形で、距離がある分だけ冷静に観ることになるな……と初めは思っていたが、結局こっちも立ち上がってノリまくってしまった。

VTは新作『HEAVY HYMNAL』を完成させたばかり(発売は6/23)で、その直前というあまりないタイミングでの公演。3年4ヵ月もあいたわけだが、始まれば「これだよ、これ。この感じを待ってたんだよ!」となる。始まった途端にそうなる。血が躍る。やっぱりVTのライブは最高と言うしかない。

以下、演奏曲目にも触れるので、週末のグリーンルームフェスを楽しみにしていて、なんの曲をやるか知りたくないという方はご注意を。

今回はメンバー4人に、直前に募集をかけて決まったコーラスの女性(ヤヨイさんと言ってたかな?)が加わった5人編成。彼女、かっこよかったです。因みに1stショーと2ndショーのセットリストは(自分の記憶に間違いがなければ)一緒だった。

「レディース&ジェントルメン、アー・ユー・レディ?」という煽りの声に呼ばれてメンバーたちがステージに。オープナーはいきなり「Run Like The River」であって、一瞬で着火。多くの人が立ち上がる。そりゃそうでしょう。

ところでこの日の朝、ティナ・ターナーの訃報があった。以前、インタビューした際に「パフォーマンスに関して最も影響を受けた人は?」とタイ・テイラーに訊くと、彼は「ティナ・ターナーだ」と即答し、ティナの凄さを熱弁。なのでこの夜必ずティナについて何か話すだろうと思っていた。すると……。1stショーでは確か3曲目でタイが「ティナ・ターナー、レスト・イン・ピース」と言って天を指さした。そのあとしばらくは笑顔で明るく歌っていたのだが、途中で込み上げてくるものがあったようで、その曲の終わりには涙をぬぐっていた。2ndショーでは、ティナがいかに偉大だったかを話したあと、「プラウド・メアリー」のサビをアカペラで歌い出した。途中でメンバーたちも即興演奏。ただでさえ久しぶりの日本公演ということで熱が入っただろうが、ティナへの思いも込めていたからこそ、この2ショーはあれほど熱いものになったのだろうと、あとでそう思った。

超待望のニューアルバム『HEAVY HYMNAL』からは、4曲を演奏した。「You Already Know」と「Not The One」と「Who I Am」と「Shinin'」。自分は『HEAVY HYMNAL』の国内盤ライナーノーツを前々日に書いたところで、書くにあたって一足早く音源を繰り返し聴いていたため、この曲はナマで演奏されるとこうなるのかーといった感じがよくわかって尚更熱くなった。アルバムのオープナーを飾る「Who I Am」について、「ライブでウォウウォウウォ~とシンガロングしている絵が目に浮かぶ」とそこに書いたのだが、まさに想像していた通りの光景だった。

それらの新曲は、初演である故、当然新鮮さがあったが、同時に過去曲とよく馴染んでもいた。つまりVT本来の個性と魅力がよく出ている4曲であるということだ。

新作収録楽曲のほかには、2020年のパンデミック期に発表したシングルのブルーズ曲「Outside-in」がとりわけ深く響いた。タイの歌唱ももちろんだが、ナリー・コルトのブルーズ・ギター・ソロに魂が入っているようだった。個人的にはこの曲が今回のひとつのハイライトだったとも思えた。

一方、ポップなアプローチでリスナー層の拡大を図ったEP『Chapter II』からは(自分の記憶に間違いがなければ)1曲もやらなかった。今の彼らのモードではないのだろう、きっと。

ビルボードでのライブとなれば、タイがステージからおりて階段をかけのぼり、2階席のテーブルの上を歩きながら歌うのもお馴染みのパフォーマンス。今回もやった。あれはやばい。何度観ても高揚する。この会場であんなことする人、ほかにいないもんな。

タイがサックスを吹くとかそういうこともなく、比較的初期の曲と新曲とでビシッとタイトに構成された今回のショー。文句なし。何度でも言うが、やっぱりVTのライブは最高だ。

土曜日のグリーンルームフェスは、自分はffktという別のフェスに行くので観ることができないのだが、数年前のグリーンルームでのVTは超盛り上がってあのフェスとVTの相性のよさを実感したものだったし、今回もめちゃめちゃ盛り上がるはず。行く人は存分に楽しんでください! (当日券も出るみたいだから、VTのこと気になってる人はマジで行くべき。野外の彼ら、最高に輪をかけて最高ですから)。

↑新曲。いい曲!




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