「TOKYO NEW SOURCE vol.1」@青山CAY

2019年6月22日(土)

青山CAYで「TOKYO NEW SOURCE vol.1」。

新たにスタートしたイベント「TOKYO NEW SOURCE」。それは何かというと……。以下、spiralのホームページに載ってた説明。

「s-kenといとうせいこうがタッグを組んでプロデュースする二十一世紀版“東京ソイソース”。第一回目は、ヒップホップ、ポエトリーリーディング、スポークンワード、文学などジャンルの壁を越えて、 新たな“言葉”と“リズム”と“サウンド”の融合に挑む。」

記念すべき第一回のステージにあがったのは以下の通り(出演順)。

SECRET COLORS。ゲスト詩人として順に向坂くじら(Anti Trench)、ID、toto(SUIKA)、GOMESS / s-ken & prester john / 町田康&3S / いとうせいこう is the poet。

幕間のDJは、WatusiとNaz ChrisによるNAZWA!、young donuts、7e、エンドウソウメイ。

バンド、SECRET COLORSの即興的で重みのある音に乗せ、若き詩人またはラッパーが自身の詩を読んだ初っ端(IDのみポエトリー・リーディングではなくラップ)。ゲスト4人のなかでは個人的にGOMESSの言葉に胸かきむしられるものがあった。

2番手のs-ken & prester johnは、s-kenが結成した新バンド。この日が初ステージ。メンバーは、s-ken、スティーヴ エトウ(Per)、ものんくるの角田隆太(Ba)、BimBamBoomの岡愛子(Gt)、矢代恒彦(key)。矢代恒彦とスティーブエトウはホットボンボンズのメンバーでもある(あった)ゆえ、s-kenの後ろでどういう音を出すかイメージできるわけだが、そこに彼らよりずっと若い世代の岡愛子と角田隆太が加わることでどのような化学反応が起きるか。それを楽しみに観た。バンドの演奏はs-kenの歌とリーディングを立てながらも、フリージャズ的にそれぞれが即興を見せたりするもので、メンバーのソロ的なものがガッと出る瞬間が刺激的。わけても終盤で岡愛子が前に出てグガガギャガガっと弾き倒したときに興奮を覚えた。思えばボンボンズは男性のみのバンドだったが、このバンドはベテランと新世代が混ざっている上に女性もいるのが現代的。彼女の存在感は際立っていた。

s-kenの楽曲は以前からポエトリーの要素もあり、『Tequila the Ripper』ではその成分が増していたわけだが、s-ken曰く最近作る曲はその傾向がさらに強くなっているそうで、初披露された新曲2曲もそういうものだった。特に「NG」という曲はその傾向が強く、病気の名前を次々に並べるなどラジオではとてもかけられない種類のもの。言葉がなかなかに強烈で、なるほどこういう新曲のモードとこのイベントをやることを決意したそのモードは繋がっている。それがわかった。

これが初ライブである故、まだヴォーカル(またはリーディング)と演奏が一体になって迫ってくるという感じではなかったが、回を重ねるごとにそこがひとつになり、そうなれば言葉のインパクトもより強まって聴こえてくるに違いない。

3番手は 町田康&3S。いくつかの詩(石牟礼道子、中島らもなど)を音に乗せて読んだあと、最後に1曲だけ歌も。久しぶりにナマで聴いたが、低い声の迫力がやはりすごい。言葉だけでなく歌い回しも圧倒的にオリジナルな人。

トリは、いとうせいこう is the poet。わりと最近、代々木公園のフリーライブで観たときは小編成の打ち込みだっだか、この夜は屋敷豪太を除いたDubforceほぼフルメンバー。よって演奏そのものにグルーブがあり、ようやくカラダを揺らしながら聴くことができた。ダブと言葉。ズドンとくるその強さ。Dub Master X特有の響きは胃のあたりにくる。

転換時のDJもそれぞれ個性あり。そんななかでyoung donutsのみDJではなくライブ(ラップ)で楽しく盛り上げた。自身も言っていたが、東京ソイソースにおいてのランキンタクシー的な役割を担っていたと言えるでしょう。

トータル3時間50分。ずっと立って観てたのでさすがに少し疲れもしたが、言葉の力とそれが音と混ざる際の可能性を強く感じたイベントだった。ただ、ひとつ思ったのは……。ポエトリーリーディングとラップは、重なるところももちろんあるけどやはり別物。ラップのアクトが混ざると「ポエトリージャム」の主旨が少しぼやける気もした。今後、2回目、3回目と続くのであれば、そのへんのバランスがどうなるか気になるところだけど、でもまあ、そんなに堅苦しく考えないほうが広がりもあるだろうし…。いずれにしても「続いていくこと」に思いっきり期待してます。

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