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『テネット』

2020年12月3日(木)

池袋グランドシネマサンシャインで、『テネット』。

3日前に遅まきながら初めて『テネット』を渋谷シネクイントで観たのだが、ただでさえ難解と言われているのに序盤と中盤で寝てしまって、なんのために何が行なわれているのか呑み込めないまま終わってしまった感があった。なので面白いのか面白くないのかさえよくわからんといった感じだったんだが、それでいいのかという自分に対するツッコミが働き、ネットでいくつかの考察や関連記事を読んだり文化評論系ポッドキャストを聴いたりして見方をおさえ(「逆行」と「順行」の表現の仕方とか、赤と青の違いとか、逆行すると何が起きるかとか、TENETという言葉の意味とか、登場人物の役割とか)、昨夜、今度は池袋グランドシネマサンシャインのIMAXレーザーGT版で観直してきた。

で。いやぁ、IMAXでの上映を前提に作られてる映画はやっぱIMAXで観ないと話になりまへんなぁ、っていう。もう印象激変。3日前に観たのと同じ映画とは思えないくらい没入できたし、最低限のことをおさえておいたので解像度も激上がり。なるほど、そうか、そういうことだったのかぁ。ニールの出自ってそうだったのかぁ。みたいな。ということで、だいぶ楽しめたし、「すっげえ!」ってなったし、面白かったです。はい。

面白かったんですがぁ。あのシーンが心に焼き付いたとか、誰々に感情移入したとか、そういうのはやっぱり一切ないな。観てるときは面白いけど、一夜明ければ忘れちゃう感じ。余韻なんてものは残らない。比較すべき対象じゃないことをわかっていながらあえて書くと、一昨日観た『佐々木、イン、マイマイン』は未だに目に焼き付いていて思い出すだけで泣けてくるシーンが本当にいくつもあるし、数分しか出てこない脇役のひとりの人生も想像できるくらい「ひと」がよく描かれていて、監督が「ひと」が好きなんだってことがよくわかったものだった。対して『テネット』は、あんなに予算かけてCGも拒否して大変な撮影して作りあげてるというのに、景色もひとも印象や記憶に残らない。つくづくノーランさん、ひとに対する興味がないんだなと。それを再確認した映画でもありました。

なんでここまでしていつもいつも「時間」を表現したいのか。どうしてここまで「時間」という概念にとりつかれてしまったのか。そしてどうしてそんなに「ひと」には興味がないのか。ノーランがそれに答えてるインタビューがあったら読んでみたい。


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